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新古典主義

2023年4月 6日 (木)

ルーヴル美術館展、愛を描く・・・2、キリスト教の愛、オランダ黄金時代、画中画の秘密

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』第322回
文明は滅びても、愛は滅びない。古代ギリシア文化、古代ローマ文化、キリスト教文化、ルネサンス、オランダ黄金時代の画中画の秘密、18世紀ロココ貴族の愛欲、革命の新古典主義、ロマン主義の反逆、19世紀イタリアの婚姻契約。「人間の真の姿がたち現れるのは、運命に敢然と立ち向かう時である」「この世は舞台、人はみな役者だ」(シェイクスピア)
【ルネサンス、メディチ家のプラトン・アカデミーの夢】1462年コジモは、フィチーノにプラトンの原典とカレッジの別荘を与えた。ロレンツォは1492年43歳で死に、詩人ポリツィアーノは毒殺、ピコも毒殺、フィチーノは1499年死ぬ。ルネサンスの夢は、マニエリスム、バロック、ロココ、新古典主義、ロマン主義の藝術家によって蘇る。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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キリスト教の愛・・・神の意思により降誕した神の子イエス
4、サッソフェラート(本名 ジョヴァンニ・バティスタ・サルヴィ)《眠る幼子イエス》(1640-85頃)
聖母マリアの腕の中で眠る幼子イエスがあどけない表情を浮かべ、聖母マリアは慈しむように我が子を抱きながら視線を子へ向けている。父なる神の意思により降誕した神の子イエスと、幼子イエスを抱く聖母マリア。十字架にかけられ生け贄の死を遂げる運命を暗示する。
キリスト教の愛・・・イエス、生け贄の死
5、ウスターシュ・ル・シュウール『キリストの十字架降下』1651頃
キリストの十字架降下(The Descent from the Cross)、磔刑に処され死した主イエス。神は我が子キリストに、人類の罪を購うために十字架にかけられ生け贄の死を遂げる運命を与えた。主題「十字架降下」は「ユダヤの王を名乗り、民を惑わせた」とユダヤ教の司祭より処刑を求められ、罪を裁く権限を持つローマ帝国の総督ピラトが手を洗い自らに関わりが無いことを示した。(『マタイによる福音書』27章)ゴルゴダの丘で、2人の盗人と共に磔刑に処された、キリストの受難の中で最も重要な場面。人類の罪を購うために十字架にかけられ生け贄の死を遂げる。
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19世紀イタリア富裕層市民の婚姻契約の愛
6、ギヨーム・ボディニエ 《イタリアの婚姻契約》1831年
1795年フランス生まれの画家ギヨーム・ボディニエは、27歳の時にイタリアを旅行し、この地に魅了されてイタリアの風景を多く描いた。ローマ近郊アルバーノの裕福な農民一家で、婚姻契約の様子を描いた。結婚する二人、若者が女を見つめ、女は恥ずかし気にうつむく、母は介添え、父親は給仕の若い女に目を向け、公証人は証書を書く。

オランダ黄金時代の画中画に隠されたた愛
5、サミュエル・ファン・ホーホストラーテン《部屋履き》1655-1662年頃
オランダの黄金時代1650年代または1660年代初め、ドルトレヒトにおいて制作した風俗画。3つの部屋が描かれている。一番手前は左手の大きな戸を開いて入った空間。床は赤と黒の菱形模様。次の間とのあいだの壁には、大きな布が掛っており、長い箒が立てかけられている。壁の下部にはデルフトタイルの装飾。光は右手から差してきている。
次の空間の床は赤い長方形。楕円形の藁のマットの上には、サンダルのようなものが乱暴に脱ぎ捨ててある。ここには強い光が右手から射してくる。
奥の部屋の入口の扉は室内に向かって開かれており、鍵束のなかの一本の鍵がこの扉に差したままになっている。床は黒と白の菱形。向こうの壁がやけに明るい。そこには画中画、椅子、鏡。黄色のテーブルクロスをかけたテーブルにはローソクをのせた燭台と本が置かれている。本の向こうの黒いものは何だろうか。
画中画にこの画のテーマが隠されているようである。後ろを向いた女性は銀色のドレスを身に付け、女中が待機している。その向こうには赤い天蓋つきのベッド。天蓋の一部は開いているが、その中の様子は分からない。ベッドの手前には同じ色の椅子があるが、その上には何も載っていない。古瀬顕

新古典主義、蘇るギリシア
6,クロード=マリー・デュビュッフ 《アポロンとキュパリッソス》1821年
アポロンはキュパリッソスを愛した。ケオース島には金色に輝く角を持った雄鹿が、人々に大切にされていた。キュパリッソスはこの鹿と仲が良かった。キュパリッソスはあるとき誤って投槍で鹿を殺してしまった。キュパリッソスは深く悲しみ、神々に永遠に嘆き悲しむことを願った。そこで神々は彼を糸杉(悲しみの象徴)に変えた。出典、オウィディウス 『変身物語』
7、『ニンフとサテュロス』アントワーヌ・ヴァトー 1715-1716年頃 油彩/カンヴァス  103x138cm パリ、ルーヴル美術館
半神半獣のサテュロスはぐっすりと眠るニンフのベールを持ち上げ、裸身に夢中になっている。
8、アリ・シェフェール《ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊》1855年
ダンテの叙事詩『神曲』「地獄篇」。大胆な構図で描かれるフランチェスカとパオロ。この男女の悲しい恋路、二人は、男の兄の嫉妬により、ナイフで刺され死んでしまう。
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展示作品の一部
フランソワ・ジェラール『アモルとプシュケ』1798年、油彩/カンヴァス 186x132cm パリ、ルーヴル美術館
フランソワ・ブーシェ《アモルの標的》1758年 油彩/カンヴァス 268x167cm パリ、ルーヴル美術館
ピーテル・ファン・デル・ウェルフ 《善悪の知識の木のそばのアダムとエバ》1712年以降 油彩/板 45x35.5cm パリ、ルーヴル美術館
カヴァリエーレ・ダルビーノ(本名 ジュゼッペ・チェーザリ)《楽園を追われるアダムとエバ》(1597)
アントワーヌ・ヴァトー《ニンフとサテュロス》(1715-16頃)
サッソフェラート(本名 ジョヴァンニ・バティスタ・サルヴィ)《眠る幼子イエス》(1640-85頃)
ウスターシュ・ル・シュウール《キリストの十字架降下》1651頃 カンヴァスに油彩 直径134cm パリ、ルーヴル美術館
ジャン=オノレ・フラゴナール《かんぬき》1777-1778頃 カンヴァスに油彩 74x94cm パリ、ルーヴル美術館 
Photo © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom
ギヨーム・ボディニエ 《イタリアの婚姻契約》1831年 油彩/カンヴァス100x138cm パリ、ルーヴル美術館 
ハブリエル・メツー《ヴァージナルを弾く女性と歌い手による楽曲の練習》、または《音楽のレッスン》1659-1662年頃 油彩/板 32x24.5cm パリ、ルーヴル美術館
サミュエル・ファン・ホーホストラーテン《部屋履き》1655-1662年頃 油彩/カンヴァス 103x70cm パリ、ルーヴル美術館
ドメニキーノ(本名 ドメニコ・ザンピエーリ)《リナルドとアルミーダ》1617-1621年頃 油彩/カンヴァス121x168cm パリ、ルーヴル美術館
《ニンフとサテュロス》 アントワーヌ・ヴァトー 1715-1716年頃 油彩/カンヴァス  103x138cm パリ、ルーヴル美術館
クロード=マリー・デュビュッフ 《アポロンとキュパリッソス》1821年 油彩/カンヴァス 192x227.5cm アヴィニョン、カルヴェ美術館
Photo © Avignon, musée Calvet
ウジェーヌ・ドラクロワ『アビドスの花嫁』1852〜1853年頃 パリ、ルーヴル美術館 
アリ・シェフェール《ダンテとウェルギリウスの前に現れたフランチェスカ・ダ・リミニとパオロ・マラテスタの亡霊》1855年 パリ、ルーヴル美術館
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参考文献
『ルーヴル美術館展、愛を描く』図録2023
「ルーヴル美術館展 19世紀フランス絵画 新古典主義からロマン主義へ」2005
「ルーヴル美術館展 18世紀フランス絵画のきらめき」1997
国立新美術館主任学芸員宮島綾子氏の報道内覧会2023における解説。
新古典主義、ダヴィッドと弟子たち・・・「ソクラテスの死」「アモルとプシュケ」
ロマン主義の愛と苦悩・・・ロマン派から象徴派、美は乱調にあり
ルーヴル美術館展 フランス宮廷の美・・・ルイ15世、ロココ様式、フランソワ・ブーシェ、ジャン=オノレ・フラゴナール
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ヴィーナスの歴史、パリスの審判、三人の女神、トロイ戦争、叙事詩の円環・・・復讐劇の起源
アモールとプシューケー エロースと絶世の美女プシューケー
大久保正雄『地中海紀行』第57回P12
ヴィーナスの歴史、パリスの審判、三人の女神、トロイ戦争、叙事詩の円環・・・復讐劇の起源
新古典主義、ダヴィッドと弟子たち・・・「ソクラテスの死」「アモルとプシュケ」
ルーヴル美術館、愛を描く・・・1、愛の絵画、愛と美の迷宮
ルーヴル美術館展、愛を描く・・・2、キリスト教の愛、オランダ黄金時代、画中画の秘密
https://bit.ly/3Gjenu8
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ルーヴル美術館展、愛を描く、国立新美術館、3月1日〜6月12日
京都市京セラ美術館、6月27日~9月24日

2023年4月 3日 (月)

ルーヴル美術館、愛を描く・・・1、愛の絵画、愛と美の迷宮

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』第321回
古代ギリシア文化、古代ローマ文化、キリスト教文化、ルネサンス、オランダの黄金時代、18世紀ロココの貴族の退廃、イタリアの婚姻契約。国家は滅びても、愛は滅びない。「人間の真の姿がたち現れるのは、運命に敢然と立ち向かう時である」シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』「この世は舞台、人はみな役者だ」『お気に召すまま』
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
■古代ギリシアの哲学者、プラトン哲学の影響の下に、ルネサンス文化は展開した。
【プラトン『饗宴』】ドラマは、アガトンの悲劇優勝記念の宴に集まる(前416年)。4人(パイドロス、パウサニアス、エリュクシマコス、アリストパネス)が「エロスの神とは何か」を議論する、最後にアガトンがエロスの本質を述べ、ソクラテスがディオティマから教えられた「愛の究極の奥義」を披露し、愛の階梯、魂の美、見えざる魂の美は極美である。究極の美は善である、イデア論を展開する。そこにアルキビアデスが酔って乱入、ソクラテスはギュムナシオンに去る、という対話篇である。メディチ家の思想家、マルシリオ・フィチーノ『饗宴注釈』『プラトン神学』(『パイドン』)を著した。
■ルネサンス文化の源泉 ルネサンス時代、フィレンツェのメディチ家は、プラトンから生まれた新プラトン主義の思想に影響を受け、ボッティチェリ、ミケランジェロらがルネサンス美術を生み出した。マニエリスム、バロック、ロココ様式、新古典主義、すべての源泉はルネサンスである。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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1、フランソワ・ジェラール【アモルとプシュケ】
プシュケはあまりの美貌ゆえに求婚するものが現れず、プシュケはある王国の三女であったが神託により人身御供に捧げられた。ヴィーナスが嫉妬により遣わした息子アモルによって天上の宮殿に略奪された。アモルを見ることを禁じられたプシュケは、アモルの姿をある夜、見てしまい、アモルを探し求めて世界中を彷徨う。ヴィーナスに4つの苦難を与えられたプシュケ。
【最後の難題は、冥界の女王ペルセポネから、美の函を地獄から持ち帰ること】プシュケはほとんど地上まで持ち帰るが、好奇心に勝てず、開けてしまう。しかしその函には、美のかわりに深い眠りが入っていて、プシュケは深い眠りにつく。プシュケは第4の苦難を解き、他方、アモルはプシュケを探している。眠っているプシュケを見つけ、その矢でついて目覚めさせる。プシュケは、アモルと天上界で結ばれる。
出典は、アプレイウス『黄金の驢馬』、ラ・フォンテーヌ『プシュケとアモルの恋』の終幕、苦難を経て天上で結ばれるアモルとプシュケの場面である。プラトン『パイドロス』の「人間の魂と神の愛の結合」、ラ・フォンテーヌ「永遠の愛を意味する再会」である。新古典主義における新プラトン主義の思想の表現である。

18世紀、ロココ様式の貴族の愛。
2,『ジャン=オノレ・フラゴナール かんぬき 1777-1778頃』
男が女を抱き寄せ、部屋のかんぬきをかけている場面。女性は恍惚としているのか、抵抗しているのか判然としない。画面の周辺に、男性性器の暗示とされる閂、女性性器や処女喪失の暗示とされる壺と薔薇の花、メタファーが鏤められている。乱れているベッド、人類最初の女性であるイヴが楽園から追放される原因となった林檎、様々な解釈ができる絵画。
フランス革命の約10年前に描かれた作品、当時は人々のモラルが変わり、男女の恋愛模様も大きく変わる時代。以降、本作のように男女の恋愛模様や性愛を彷彿とさせる作品は非難されるようになった。18世紀フランスでは、自由や快楽を肯定することが、キリスト教の権威に対する反発や批判に繋がる風潮が流行していた。解釈できない曖昧さが画面に散りばめれている」
3、フランソワ・ブーシェ『アモルの標的』1758年
フランソワ・ブーシェ、ロココ様式の巨匠、ルイ15世王の首席画家、王立絵画彫刻アカデミー院長、。生涯に千枚以上の絵画、百枚以上の版画、約一万枚の素描を制作、壁画装飾、タピスリーや磁器の下絵制作。
ローマ神話、ヴィーナスの息子である愛の神アモル(クピド)が放った矢がハート形をした的を射抜いた場面、愛が生まれた瞬間を描。よく見ると、的の周辺には無数の穴があり、アモルが何回か射的に失敗した。上空を飛ぶアモルは両手に持つ月桂冠を掲る。下部のアモルたちは、もう必要がなくなった弓矢を燃やしている。
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参考文献
『ルーヴル美術館展、愛を描く』図録2023
「ルーヴル美術館展 19世紀フランス絵画 新古典主義からロマン主義へ」2005
「ルーヴル美術館展 18世紀フランス絵画のきらめき」1997
国立新美術館主任学芸員宮島綾子氏の報道内覧会2023における解説。
新古典主義、ダヴィッドと弟子たち・・・「ソクラテスの死」「アモルとプシュケ」
ロマン主義の愛と苦悩・・・ロマン派から象徴派、美は乱調にあり
ルーヴル美術館展 フランス宮廷の美・・・ルイ15世、ロココ様式、フランソワ・ブーシェ、ジャン=オノレ・フラゴナール
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ヴィーナスの歴史、パリスの審判、三人の女神、トロイ戦争、叙事詩の円環・・・復讐劇の起源
アモールとプシューケー エロースと絶世の美女プシューケー
大久保正雄『地中海紀行』第57回P12
ヴィーナスの歴史、パリスの審判、三人の女神、トロイ戦争、叙事詩の円環・・・復讐劇の起源
新古典主義、ダヴィッドと弟子たち・・・「ソクラテスの死」「アモルとプシュケ」
ルーヴル美術館、愛を描く・・・1、愛の絵画、愛と美の迷宮
https://bit.ly/3U0Hpoh
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ルーヴル美術館展、愛を描く、国立新美術館、3月1日〜6月12日

2023年3月31日 (金)

新古典主義、ダヴィッドとダヴィッドの弟子たち・・・「ソクラテスの死」「アモルとプシュケ」

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大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』第320回
【ルネサンスと革命とナポレオン】ルネサンスの藝術家、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロは古代ギリシアの藝術に憧憬、古代藝術を再生した。18世紀、新古典主義の藝術家たちは、ルネサンス美術に憧れイタリアを愛し、新古典主義美術を生み出した。メディチ家のプラトン・アカデミーの精華である。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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ジャック=ルイ・ダヴィッド(Jacques-Louis David1748−1825)「毒杯を仰ぐソクラテスLa Mort de Socrate」1787、メトロポリタン美術館
【ソクラテスの死】紀元前399年、ソクラテスは、ギリシアの哲学者の最も偉大な思想家の一人、エンペドクレス、プラトンとならび、高邁な有徳の士、高貴な人格。ソクラテスは、その思想で若者たちを堕落させたという罪状で死刑宣告を受ける。死を免れるのは可能だったが、クリトンのすすめを退け、裁判で下された裁定に従って、評決に甘んじて死ぬ道を選ぶ。プラトン『パイドン』は偉大な思想家の死を描く。ソクラテスは魂の不死不滅を論証する。ソクラテスの牢獄の最後の日の対話を指嗾のドラマにする。彼は感情あらわに嘆き悲しむ弟子たちを戒め、毒杯をあおって威厳ある死を遂げた。自己犠牲による死を主題にした。
国家に正義があるか、疑義がある。疑惑の正義を分析するのは『国家』第2巻で展開する正義の分析であり、魂の正義の分析である。見えざる魂を見える国家の形で分析することが『国家』第9巻で展開する堕落した国家の諸形態の分析である。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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【ダヴィッド、イタリアと革命とナポレオン】ロココ絵画の巨匠フランソワ・ブーシェ(1703-1770*『ヴィーナスの化粧』1751)はダヴィッドの親戚であった。ダヴィッドは画家ジョゼフ=マリー・ヴィアンに師事する。1774年《アンティオコスとストラトニケ》で、若手画家の登竜門ローマ賞受賞。ダヴィッドは1775年から1780年まで約5年間、イタリアで、プッサン、カラヴァッジョ、カラッチ、古典絵画の研究に没頭する。イタリアでの研究を契機に作風は18世紀フランスを一世風靡したロココから、新古典主義的な画風へと変貌する。37歳の時、ルイ16世注文の《ホラティウス兄弟の誓い》(1784年から1785年)、この作品によってサロンで評価される。
1789年、フランス革命勃発、ダヴィッドは、ジャコバン党員として政治にも関与。《球戯場の誓い》を描く他、バスティーユ牢獄襲撃事件に参加、1792年、国民議会議員。1793年、革命家マラーの死を描いた《マラーの死》を制作。1794年、ロベスピエールに協力、最高存在の祭典の演出を担当。
ナポレオンと同じようにローマ愛が強く意気投合する。段々と地位が上がり、最後は芸術長官に任命される。1804年、ナポレオンの首席画家に任命される。6×9メートルの大作《ナポレオン一世の戴冠式と皇妃ジョゼフィーヌの戴冠》1806年から1807年に描く。1808年「帝国における騎士ダヴィッド」の爵位を与えられた。ナポレオンの失脚後、ダヴィッドも失脚し、1816年にブリュッセルへ亡命、9年後の1825年に時代に翻弄された77年の生涯を終える。
フランソワ・ジェラール【アモルとプシュケ】プシュケはあまりの美貌ゆえに求婚するものが現れず、ヴィーナスが嫉妬により遣わした息子アモルによって天上の宮殿に略奪された。プシュケはある王国の三女であったが神託により人身御供に捧げられた。アモルを見ることを禁じられたプシュケは、アモルの姿をある夜、見てしまい、アモルを探し求めて世界中を彷徨う。ヴィーナスに4つの苦難を与えられたプシュケ。
【最後の難題は、冥界の女王ペルセポネから、美の函を地獄から持ち帰ること】プシュケはほとんど地上まで持ち帰るが、好奇心に勝てず、開けてしまう。しかしその函には、美のかわりに深い眠りが入っていて、プシュケは深い眠りにつく。プシュケは第4の苦難を解き、他方、アモルはプシュケを探している。眠っているプシュケを見つけ、その矢でついて目覚めさせる。プシュケは、アモルと天上界で結ばれる。
出典は、アプレイウス『黄金の驢馬』、ラ・フォンテーヌ『プシュケとアモルの恋』の終幕、苦難を経て天上で結ばれるアモルとプシュケの場面である。プラトン『パイドロス』の「人間の魂と神の愛の結合」、ラ・フォンテーヌ「永遠の愛を意味する再会」である。新古典主義における新プラトン主義の思想の表現である。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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最も優秀な弟子、3人のG
フランソワ・ジェラール(Francois Gerard 1770−1837)「アモルとプシュケ」1798、ルーヴル美術館
ジロデ=トリオソン(Anne-Louis Girodet de Roussy-Trioson 1767−1824)、「エンデュミオン」1792、ルーヴル美術館
ジャン・アントワーヌ・グロ(Antoine-Jean Gros1771−1835)「アルコレ橋上のボナパルト将軍」1796、ルーヴル美術館
ともにダヴィッドの最も優秀な弟子の一人。3人のGと呼ばれる。
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ダヴィッドの弟子、フランソワ=エドゥアール・ピコ(1786-1868)「アモルとプシュケ」1817、ルーヴル美術館
ジャン=オーギュスト・ドミニク・アングル(1780-1867)「スピンクスの謎を解くオイディプス」1808、ルーヴル美術館
アントニオ・カノーヴァ「プシュケとアモル」(1787-1793)、ルーヴル美術館
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参考文献
鈴木杜幾子『画家ダヴィッド 革命の表現者から皇帝の首席画家へ』晶文社1991
ケネス・クラーク(高階秀爾訳)『ロマン主義の反逆 : ダヴィッドからロダンまで13人の芸術家』小学館1988
「ルーヴル美術館展 19世紀フランス絵画 新古典主義からロマン主義へ」2005
「ルーヴル美術館展 18世紀フランス絵画のきらめき」1997
「ルーヴル美術館展 ―地中海 四千年のものがたり」2013
「ルーヴル美術館展、愛を描く」2023
ルーヴル美術館展 ―地中海 四千年のものがたり・・・ギリシア文化の輝き
地中海 四千年のものがたり・・・藝術家たちの地中海への旅
https://bit.ly/2ELRoci
ヴィーナスの歴史、パリスの審判、三人の女神、トロイ戦争、叙事詩の円環・・・復讐劇の起源
アモールとプシューケー エロースと絶世の美女プシューケー
大久保正雄『地中海紀行』第57回P12
ヴィーナスの歴史、パリスの審判、三人の女神、トロイ戦争、叙事詩の円環・・・復讐劇の起源
新古典主義、ダヴィッドとダヴィッドの弟子たち・・・「ソクラテスの死」「アモルとプシュケ」
https://bit.ly/40uIiI2