フェルメールと17世紀オランダ絵画・・・ドレスデンの思い出
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』270回
ハプスブルク帝国の旅、ドレスデン国立絵画館、に行ったのは、1999年夏である。稲妻が光り、雷鳴が鳴る夜のドナウ川クルーズを思い出す。ハプスブルク帝国の美術はバロック美術。オランダの黄金時代は、フェリペ2世に対する反乱からウエストファリア条約まで、1648年10月24日調印の三十年戦争。
【藝術家と運命との戦い】藝術家は悲惨な人生と引き換えに傑作を生み出す。思想家は悲劇的な人生と引き換えに思想と美を生み出す。ミケランジェロは、死の4日前、最後の作品に鑿を入れた。運命に翻弄され88歳で死ぬ。メディチ家ロレンツォの養育を受けプラトン・アカデミーに学ぶ。ルネサンス、ルネサンスの死、教皇の注文制作、ヴィットリアの死、マニエリスム、そして、生死の彼方へ。
【『窓辺で手紙を読む女』1657-59】フェルメール初期の作品。消された画中画キューピッドは、恋愛の象徴。仮面=欺瞞の象徴。真実の愛を探求するテーマか。なぜ、消されたのか。レンブラント風を装って、無名のフェルメールを消した。
【フェルメール 手紙】意中の人からの手紙を読む女、禁じられた恋の匂い。手紙を描いたフェルメール作品は6点ある。『窓辺で手紙を読む女』(1659年)が始まり『婦人と召使』(1668年)、『恋文』(1670)、『手紙を書く女と召使い』(1672)が到達点である。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
【闇の絵画、バロック画家の死】1610年、カラヴァッジョ38歳。1660年、ベラスケス61歳。1640年、ルーベンス62歳。1669年、レンブラント63歳。1652年、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール58歳。1675年、フェルメール43歳。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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【フェルメール 21歳で画家、43歳で死す】ヨハネス・フェルメール、1632年デルフトに生まれる。1636年チューリップバブル弾ける。1648年ウエストファリア条約でオランダ独立。1647から6年間、画家修業。1652年、父レイニール死去、宿屋と画商を継承「空飛ぶ孤亭」
【フェルメール、空飛ぶキツネ亭】フェルメールは、デルフトで生まれ生涯を送り11-12人の子を残して1675年、43歳で死す。フェルメールの生家は宿屋「空飛ぶキツネ亭」。キツネ亭主人、父レイニエル・ヤンスゾーン・フォス。フェルメールは20歳の時に結婚。
【フェルメール、風俗画】フェルメール「手紙を書く婦人と召使い」「真珠の首飾りの女」「ワイングラス」「恋文」物欲に溺れる女、食欲に溺れる女、性欲に溺れる女。フェルメールのテーマは、欲望に溺れる女。ペルシャ絨毯とみられる「テーブルクロス」が頻繁に登場する。フェルメールは同じ小道具。黄色のガウン
【フェルメール、空飛ぶキツネ亭】フェルメールは20歳の時に結婚した資産家の妻カタリーナ・ボルネスの実家で暮らし、絵画制作に励む。17世紀オランダで郵便制度が発達、手紙という新しいコミュニケーションの手段が瞬く間に広がる。マルクト広場の1km四方の世界に住む。
【フェルメール、光の表現、柔らかい光】ポワンティエ、光の粒、『牛乳を注ぐ女』。【カメラ・オブスクーラ】アントン・ファン・レーウェンフック、フェルメール『天文学者』『地理学者』、フェルメールの遺産管財人。カメラ・オブスクーラを通して見る映像を描いた。
【フェルメールの師、カレル・ファブリティウス、32歳で死す。】
カレル・ファブリティウス(Carel Fabritius)(1622年2月27日‐1654年10月12日)、レンブラント・ファン・レインの弟子。 アムステルダムのレンブラントの工房で絵を学んだ。1650年代初頭にデルフトへ移り、フェルメールと同時に、1652年にデルフトの画家ギルドに加入。 デルフト爆発事件で、1654年10月12日、デルフトで没す、32歳。今日に残る彼の作品は10点余り。『楽器商のいるデルフトの眺望』 1652年 「帽子と胴鎧をつけた男(自画像)」1654年
【フェルメールの部屋】サルヴァドール・ダリ「アトリエで仕事をするフェルメールを10分でも観察できるなら、私の右腕を切り落としてもいい」ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「彼の絵には完璧なパレットがある」「フェルメールの絵はドールハウス。のぞき穴から覘いた部屋。
【17世紀オランダ絵画】
【ヤン・ステーン『牡蠣を食べる娘』1660】牡蠣は媚薬。牡蠣を食べる若い娘、艶めかしく蠱惑的で挑発的な視線をみる者に向ける。若い娘が手に取り口へ運ぼうとする<牡蠣>は、17世紀、精力剤(媚薬)として好まれた食材。娘の魅惑的な表情と娘の背後の寝台は艶かしい。マウリッツ・ハイス美術館
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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展示作品の一部
【『窓辺で手紙を読む女』1657-59】フェルメール初期の作品。消された画中画キューピッドは、恋愛の象徴。仮面=欺瞞の象徴。真実の愛を探求するテーマか。なぜ、消されたのか。レンブラント風を装って、無名のフェルメールを消した。
17世紀オランダ絵画
ヤン・ステーン『ハガルの追放』(1655~57頃)
ヘラルト・デル・ポルフ『手を洗う女』(1655~56頃)
ハブリエル・メツー『レースを編む女』(1661~64頃)
レンブラント・ファン・レイン『若きサスキアの肖像』(1633)
ヤーコブ・ファン・ライスダール『城山の前の滝』『牡鹿狩り』(1665~70頃)
ヘリット・ベルクへイデ『アムステルダムのダム広場の眺望』(16700~75頃)
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★参考文献
フェルメール展、上野の森美術館・・・光の魔術師、オランダの黄金時代の光と影
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フェルメールからのラブレター展・・・禁じられた恋の匂い
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「フェルメール展-光の天才画家とデルフトの巨匠たち-」東京都美術館(2)・・・光と陰の室内空間
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ヴィルヘルム・ハンマースホイ、静かなる詩情、国立西洋美術館・・・陽光、あるいは陽光に舞う塵
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ベルリン国立美術館展、フェルメール「真珠の首飾りの少女」・・・物欲と虚栄に溺れる女
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小林頼子「フェルメールの魔法」
小林頼子『フェルメール 作品と生涯』
『フェルメール展 図録』2018
フェルメールと17世紀オランダ絵画・・・ドレスデンの思い出
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17世紀オランダを代表する画家ヨハネス・フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》は、窓から差し込む光の表現、室内で手紙を読む女性像など、フェルメールが自身のスタイルを確立したといわれる初期の傑作です。1979年のX線調査で壁面にキューピッドが描かれた画中画が塗り潰されていることが判明、長年、その絵はフェルメール自身が消したと考えられてきました。しかし、その画中画はフェルメールの死後、何者かにより消されていたという最新の調査結果が、2019年に発表されました。
本展では、大規模な修復プロジェクトによってキューピッドの画中画が現れ、フェルメールが描いた当初の姿となった《窓辺で手紙を読む女》を、所蔵館であるドレスデン国立古典絵画館でのお披露目に次いで公開します。所蔵館以外での公開は、世界初となります。加えて、同館が所蔵するレンブラント、メツー、ファン・ライスダールなどオランダ絵画の黄金期を彩る珠玉の名品約70点も展示します。東京都美術館
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「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」東京都美術館、2月1日(火)~4月3日(日)
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