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2021年3月の記事

2021年3月28日 (日)

「あやしい絵展」・・・退廃的、妖艶、エロティック、表面的な「美」への抵抗

Ayashii2021-1

Ayashii2021-0

大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第239回
「あやしい絵」、背後にあるものは何か。
失われた幸せ、衝撃から髪を靡かせて疾走し遁走する、葛藤と救済。隠されたドラマは何か。
異界から聖なる者を誘惑する女、一途な執着の女、この世では結ばれない男女の愛、落城寸前の我が子秀頼を守ろうとする淀君、生霊、略奪愛。
その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな 鳳晶子『みだれ髪』1901
泉鏡花『高野聖』、「安珍清姫伝説」、近松門左衛門『心中天網島』、淀君の苦悩、運命の女(Femme fatale)、六条の御息所の生霊(謡曲『葵上』)、与謝野晶子『みだれ髪』、河竹黙阿弥『處女翫浮名横櫛』、『京の舞妓』。
【果たせぬ夢を果たし、晴らせぬ恨みを晴らす】生老病死、怨憎会苦、愛別離苦、求不得苦、五蘊集苦。果たせぬ夢を果たし、晴らせぬ恨みを晴らす。この世に渦まく悪逆非道、鬼畜、化粧せる不正、不条理に反抗、怨敵調伏する。
北野恒富の屛風『道行』は近松門左衛門「心中天網島」を題材としているが、幕末の志士、高杉晋作「三千世界の鴉を殺し ぬしと朝寝がしてみたい」の都々逸を合わせて展示されている。
幕末から昭和初期に制作された絵画、版画、挿図をみると、退廃的、妖艶、グロテスク、エロティック、「単なる美しいもの」とは異なる。「あやしい絵」のほとんどは、女たち、虐げられた者たちである。江戸時代からつづく、封建制、階級社会、抑圧された者たちの世界。鳳晶子『みだれ髪』1901年、ロマン主義の花が開く。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
展示作品の一部
月岡芳年『魁題百撰相』は、戊辰戦争の兵士たちを、江戸初期の人物の姿を借りて表したシリーズ。実際に芳年は上野戦争の現場を訪れ、傷ついた兵士や遺体を模写したという。流血したその姿からは、無念さや気迫が感じられる。
安本亀八「白瀧姫」1895年頃(明治28年頃)桐生歴史文化資料館蔵
藤島武二装丁、鳳晶子『みだれ髪』1901年(明治34年
稲垣仲静「猫」1919年頃(大正8年頃)星野画廊
上村松園『焰』大正7年、東京国立博物館 [展示期間:3月23日~4月4日]
速水御舟『京の舞妓』、東京国立博物館
曾我蕭白『美人図』江戸時代(18世紀)、奈良県立美術館、東京展のみ、3月23日~4月4日
橘小夢『安珍と清姫』大正末頃、弥生美術館 [後期展示:4月20日~5月16日]
ダンテ・ガブリエル・ロセッティ《マドンナ・ピエトラ》1874年、郡山市立美術館
アルフォンス・ミュシャ「ジスモンダ」1986
甲斐庄楠音「畜生塚」大正4(1915)年頃、京都国立近代美術館蔵
甲斐庄楠音「幻覚(踊る女)」大正9(1920)年頃、京都国立近代美術館蔵
甲斐庄楠音「舞う」大正10(1921)年
甲斐庄楠音《横櫛》大正5年頃、京都国立近代美術館、通期展示
岡本神草「拳を打てる三人の舞妓の習作」1920、京都国立近代美術館
岡本神草「口紅」1918、京都市立芸術大学資料館
岡本神草「仮面を持てる女」1922、京都国立近代美術館
岡本神草「骨牌を持てる女」1923、京都国立近代美術館
北野恒富『道行』大正2年1913頃、福富太郎コレクション、3月23日~4月4日
北野恒富『淀君』大正9(1920)年
――
参考文献
田中麗子「あやしい絵 通史」
「あやしい絵展 図録」毎日新聞社2021
上村松園展・・・美人画の系譜
http://mediterranean.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-1f70.html
「ラファエル前派の軌跡展」・・・ロセッティ、ヴィーナスの魅惑と強烈な芳香
https://bit.ly/2Coy0jB
「ギュスターブ・モロー展 サロメと宿命の女たち」・・・夢を集める藝術家、パリの館の神秘家。幻の美女を求めて
https://bit.ly/2v5uxlY
「怖い絵展」
http://bit.ly/2z8eCTV

「あやしい絵展」・・・退廃的、妖艶、エロティック、表面的な「美」への抵抗
――
明治期、あらゆる分野において西洋から知識、技術などがもたらされるなか、美術も西洋からの刺激を受けて、新たな時代にふさわしいものへと変化していきました。
このような状況のもとで生み出されたさまざまな作品の中には、退廃的、妖艶、グロテスク、エロティックといった「単なる美しいもの」とは異なる表現がありました。これらは、美術界で賛否両論を巻き起こしつつ、激動する社会を生きる人々の欲望や不安を映し出したものとして、文学などを通して大衆にも広まっていきました。
本展では幕末から昭和初期に制作された絵画、版画、雑誌や書籍の挿図などからこうした表現を紹介します。
1.一度見たら忘れられない名画たち
日本近代の美術における美しさの「陰画(ネガ)」をご紹介。上村松園の《焰》や《花がたみ》、鏑木清方《妖魚》等、「あやしい」魅力にあふれた作品が勢揃いします。
2.ディープな「あやしい」作品が盛りだくさん
甲斐庄楠音《横櫛》、橘小夢《安珍と清姫》、秦テルヲ《血の池》等、脳裏に焼きつくほど美しく強烈な「あやしさ」をそなえた作品が多数出品されます。
3.私たちを捉えて離さない「あやしい」物語
安珍・清姫伝説、「高野聖」等の物語はさまざまな作家を魅了し作品に展開されました。非現実であったり「あやしい」女性が登場したりする物語は、明治、大正期のみならず今の私達にも魅力的に映ることでしょう。
4.西洋美術も!
アルフォンス・ミュシャ、ダンテ・ガブリエル・ロセッティ、オーブリー・ビアズリー、エドワード・バーン=ジョーンズ等、日本の画家達に影響を与えた西洋美術の作品もあわせて紹介します。

1章:プロローグ 激動の時代を生き抜くためのパワーをもとめて(幕末~明治)
2章:花開く個性とうずまく欲望のあらわれ(明治~大正)
 1 愛そして苦悩―心の内をうたう
藤島武二と田中恭吉の絵画。彼らに影響を与えたアール・ヌーヴォーのアルフォンス・ミュシャ、ラファエル前派ロセッティ、象徴派。
 2 神話への憧れ
古事記のイザナギノミコトとイザナミノミコトの物語を題材にした『黄泉比良坂』(1903)、青木が人間の生命の始源ととらえた海を題材にした『運命』(1904)。
 3 異界との境で
泉鏡花『高野聖』の修行僧、宗朝が傷ついて汚れた体を親切な女に川で洗い流して癒してもらう艶めかしい場面、美貌の女の色香に惹かれる迷う僧。だが彼女は男を動物に変えてしまう魔女。橘小夢作『高野聖』。谷崎潤一郎『刺青』の女郎蜘蛛が背中に彫られた少女を描いた橘小夢作挿絵『刺青』。
 4 表面的な「美」への抵抗
豊臣秀吉の側室である淀君、北野恒富《淀君》(1920)。暗闇から浮かびあがる、口を一文字に結び先を見据えたその表情。
島成園の《無題》(1918)は、顔に痣のある女性を描く。島は「あざのある女性の運命とこの世を呪う気持ちを描いた」と語る。
 5 一途と狂気
物語の挿絵が、浮世絵の系譜にある場面を重視したものから、登場人物の内面を描くものへと移り変わった。近松門左衛門『心中天網島』を題材とした北野恒富《道行》(1913)は、死を決意したふたりの悲しみの表情と、それを象徴する鳥の姿。
3章:エピローグ 社会は変われども、人の心は変わらず(大正末~昭和)
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/ayashii/
――
「あやしい絵展」東京国立近代美術館、2021年3月23日(火)~5月16日(日)
「あやしい絵展」大阪歴史博物館、2021年7月3日~8月15日

2021年3月16日 (火)

大地のハンター展、陸の上にも4億年・・・百獣の王、食物連鎖の頂点に立つ者

Hunters-2021

Cartier-2011

大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第238回
生命の競争社会、生きるために生物を捕えて食べる。弱肉強食、食うか食われるか。生物は生物を食べて生きる。気づいたときには食われている。
中生代白亜紀のワニ、デイノスクスは、恐竜ティラノサウルスを捕食していた。捕食活動、食物連鎖の頂点に立つ人類と生物の生命史。食肉目ネコ科ヒョウ属ライオンは百獣の王なのか。人は、おびき寄せ待ち伏せ、罠を作って獲物を捉える。捕食の頂点に立つものは何か。人を食うものは何か。
【百獣の王】猫科は、基本的に一人で行動する。ライオンは集団行動で、夜、象に跳びかかって襲い、一昼夜で仕留める。チーターは、地上最速のハンターだが、飛ぶことはできない。百獣の王は何か。
【狩人の武器】おびき寄せ・待ち伏せ、道具を使って獲物をおびき寄せる、身を隠して獲物を待つ。毒使いの狩人、カマ使いの狩人。狩りは、生きるために必要なエネルギーを得る重要な手段であり、効率よく狩りを行うために、動物たちは最適な身体を手に入れ、さまざまな技術を身につける。追う者、追われる者。
【雲南省の洞窟、石正麗】1918-20年、スペイン風邪ウィルスは、5億人に感染し5000万人が死亡した(National Geographic)。2019-21年、新型コロナウィルスが世界中で感染爆発。2005年から、武漢ウィルス研究所の石正麗博士は、雲南省の洞窟を探検し2000のウィルスを採集した。雲南省の洞窟に潜む、きくがしら蝙蝠はウィルスを保有、穿山甲が媒介して人に感染する。WIV1は直接ヒトに感染する。2019新型コロナは、石正麗の2013年舟山コウモリから発見されたRaTG13ウィルスに96%一致する。ウィルスは人を死に至らしめる。血を吸うことでさまざまな伝染病を媒介しヒトを死にいたらしめる蚊。生命の競争社会、食物連鎖の頂点に立つ者は何か。
*大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
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★展示される主な標本
陸に上がって 4 億年のうちに多様化したハンター 捕食者)。動物が生きていくために必要な営み「 捕食「(捕らえて食べる)」に注目し、ハンターの顎と歯の進化、ハンティングテクニックを紹介しながら生態系におけるその役割と重要性を解き明かす。さまざまなハンターの起源と進化を紹介し、大地のハンターが生きる地球環境のこれからを考える科学展覧会。
第 1 章 太古のハンター」
遠い昔に栄え、そして絶滅した生物の系譜を追いながら、ハンターの起源と進化に迫ります。節足動物と脊椎動物の顎の成り立ちの違いや、中生代に活躍した両生類 ・爬虫類、新生代の大地に栄えた哺乳類など、太古に活躍したハンターを、化石や骨格標本を通して紹介します。
太古のハンターというと大型肉食恐竜が思い浮かびますが、恐竜が常に生息環境の頂点にいた訳ではありません。本章では恐竜を食べていたと推定されるワニ類や哺乳類などにも焦点をあて、太古の地球の多様性を示します。ワニは約 2 億 3000 万年前の三畳紀に出現して以来、現生までほとんど形を変えずに水辺の生態系に君臨し続けているハンター。恐竜絶滅後の大地には哺乳類が繁栄しました。
第 2 章 大地に生きるハンター」 本章では、さまざまな地球環境に順応している現生のハンターを展示します。「水辺」、 森・密林」、 草原」、 荒野(砂漠・岩場)」の4つの生息域ごとに代表的なハンターを紹介するほか、「おびき寄せ・待ち伏せテクニック」や「暗闇」などの切り口で、ハンターの特徴を解説。
【水辺のハンター】
動物は生きるために必要な水を得るため水辺にやってきます。このため必然的に多くのハンターも水辺に集まります。水辺に君臨する 「イリエワニ」の4mを超える大型剥製や、巨大な 「ヒグマ」、水を恐れずワニをも捕食する 「ジャガー」、動かない鳥として人気の 「ハシビロコウ」水辺でハンティングする動物
【森・密林のハンター】
陸地の3割を占める森・密林。森に潜み狩りを行う動物や、樹上に登り立体的に狩りを行う動物。代表的なネコ科のハンターである 「トラ」、長い犬歯が特徴的で現生のサーベルタイガーともいわれる 「ウンピョウ」、群れで狩りをすることで知られる「オオカミ」などのほか、立体的に活動する「オオアタマガメ」や「トビトカゲ」などの珍しい小動物
【草原のハンター】
多くの草食獣が暮らす草原には、それを狙うハンターも多く生息しています。彼らの狩りの方法も多彩です。ネコ科では珍しく集団で狩りをする 「ライオン」、跳躍力に優れた華麗なハンター 「サーバル」、腐肉食というイメージがついてしまったが実は狩りが得意な「ブチハイエナ」。また、人気のスピードスター 「チーター」や、強力な毒をもつヘビ 「ブラックマンバ」など、特徴的なハンター
【荒野(砂漠・岩場)のハンター】
砂漠や岩場など厳しい環境にも獲物はいます。これらを捕らえるハンターは、厳しい環境に適した体をもっています。大きな耳をラジエーターとして砂漠に生息する「フェネック」、高地の寒さに耐えうる長い毛をもつ「マヌルネコ」、山岳地帯の急峻な崖をものともせず狩りを行う「ユキヒョウ」など、厳しい生息域で暮らすハンター
【おびき寄せ・待ち伏せテクニック】
道具を使って獲物をおびき寄せるユニークな動物!おとりの昆虫を水に浮かべ餌となる魚をおびき寄せる「ササゴイ」、自らのピンク色の舌をミミズのように動かして魚を捕らえる 「ワニガメ」、地中に半身を隠してじっと獲物を待つ「ベルツノガエル」などのユニークな動物。
第 3 章 ハンティングの技術」 【偏食なハンター】展示される主な標本
アリ、シロアリを食べるために進化した口と舌を持つ「オオアリクイ」
【毒使いのハンター】展示される主な標本
毒をもつ希少なトカゲ類で乾燥地に生息する「メキシコドクトカゲ」
【カマ使いのハンター】―これぞ収斂進化!カマのような前脚をもつ動物集合!
可憐な花に擬態「ハナカマキリ」
「カマバチ」、「カマバエ」、「カマキリモドキ」、「ミズカマキリ」、「ザトウムシ」など、種をまたいでカマ使いのハンター
第 4 章 フォーエバー・大地のハンター」
人間による思慮の無い活動のために数を減らしたハンター、逆に生息域を広げてしまったハンター。本章では、外来のハンターと、人間によって絶滅してしまったハンターを取り上げ、人間と地球の仲間たちとの持続可能なバランスある関係づくりに向けたメッセージ。
★「大地のハンター展、国立科学博物館」Press Releaseより
――
★参考文献
「大地のハンター展 図録」国立科学博物館2021
【感染爆発、帝国と都市国家の戦い】この世の果てを超えて、旅する詩人・・・「時の関節が外れた」シェイクスピア
【人口削減計画】ゼウスは、増え過ぎた人口を調節するためにテミスと試案を重ね、大戦を起こして人類の大半を死に至らしめる決意をした。
https://bit.ly/2XoaNcd
ウィルスと人類の戦い・・・感染爆発の歴史、アテネのペリクレス、ルネサンス、厩戸皇子 、盧舎那仏
https://bit.ly/2z32Orl

大地のハンター展、陸の上にも4億年・・・百獣の王、食物連鎖の頂点に立つ者

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森や草原、水辺や砂漠、地球上のあらゆる場所で、動物たちの食べる・食べられるというつながりがあり、狩るという行為の積み重ねによって、生態系のバランスが保たれています。
動物たちにとって狩りは、生きるために必要なエネルギーを得る重要な手段であり、効率よく狩りを行うために、動物たちは最適な身体を手に入れ、さまざまな技術を身につけてきました。
本展では、狩りを行う動物(大地のハンター)たちの進化の歴史を概観するとともに、現生の多種多様なハンターたちの特徴やハンティングテクニックを紹介します。国立科学博物館
https://www.kahaku.go.jp/index.php
――
大地のハンター展、国立科学博物館、2021年3月9日㈫~6月13日㈰

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