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2019年5月 6日 (月)

クリムト『ベートーベン・フリーズ』・・・理念を目ざす藝術家の戦い。黄金の甲冑で武装した騎士、詩の女神に出会う

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大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第181回
春爛漫、花の匂い漂う森を歩いて、美術館に行く。紫の躑躅と牡丹と八重桜の咲き匂う森から、秘書は駆け寄ってきた。彼女と八重櫻、園里黄桜が咲く道を歩いて行く。
灼熱のウィーンの夏の日の思い出が蘇る。ベルヴェデーレ宮殿の庭を歩いていくと、ハーピストが向こうから歩いてきた。ハプスブルク帝国、東欧の世界遺産の美をめぐる旅。あの夏、ベルヴェデーレ宮殿でクリムト『接吻』(1907-8)をみた。稲光の光る嵐の夜のドナウ川クルーズ、チェスキー・クルムロフ城を思い出す。
【理念を目ざす藝術家の戦い】クリムト『ベートーヴェン・フリーズ』は、黄金の甲冑で武装した騎士が、敵対する力と戦い、竪琴をもつ詩の女神に出会い、純粋な幸福と愛に辿りつく旅路。楽園の天使の合唱、シラーの詩「麗しき神々の火花よ」「この接吻を世界に」。*
夕暮れに、竪琴をもつ美の女神、美の楽園の天使が、美しい魂に舞い降りる。
【グスタフ・クリムト「接吻」ベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館】恋人たち二人の足下の花園は断崖、かろうじて女性の両足が支える。男はグスタフ、女はエミーリエ。1891年、生涯の恋人、エミーリエ・フレーゲ(Emilie Louise Flöge 1874-1952)と出会い、フレーゲ三姉妹を通じて、ウィーン貴族と上流階級との交流が始まる。クリムトは生涯結婚せず。彼女は、クリムト(Gustav Klimt 1862-1918)の死後、34年生きる。
【理念を目ざす思想家の戦い】詩の霊感、藝術の魔力は、至高体験(Peak Experience)へと人を導く。天人には天人の喜びがあり、天から舞い降りた天の童子は、この世で修羅の道を歩み、この世の果てに美をめざす。理念を目ざす思想家は、密教真言の呪力で敵と戦い、怨敵調伏する。至高の美を探求する哲学者の旅。
【美女を探求する藝術家】ロセッティ『プロセルピナ』『祝福されし乙女』、ギュスターヴ・モロー『出現』『サロメ』『一角獣』、カラバッジョ『ホロフェルネスの首を斬るユディト』、レオナルド『レダ』。ロセッティの運命の女、ジェーン・バーデン。ギュスターヴ・モローの見つめ合う男女『オルフェウスの首を抱くトラキアの娘』『オイディプスとスフィンクス』『ヨハネとサロメ』。グスタフ・クリムト『接吻』の二人は何を意味するのか。断崖で口づけする二人。
クリムトは、エロスと装飾絵画の藝術家である。象徴的な絵画を200点、描いた。新しい運動の理念を象徴する絵画、「パラス・アテナ」「ヌーダ・ヴェリタス」。女性の神秘を追求した絵画、「ユディトⅠ」「サロメ」「ダナエ」。理念を目ざす藝術家の戦い、『ベートーヴェン・フリーズ』1902、「人生は戦いなり(黄金の騎士)」、「接吻」。生殖から死までの生命の円環、「女の三世代」。愛と性欲の神秘、対立と争い、老いと死を迎える人間の衰退、これらを絵画の中で象徴的に描いた。(Cf.マークス・フェリンガー)
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
*大久保正雄『藝術家と運命との戦い』
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美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
美しい魂は、輝く天の仕事をなし遂げる。美しい女神が舞い下りる。美しい守護精霊が、あなたを救う。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
――
クリムト『ベートーヴェン・フリーズ』Gustav Klimt The Beethoven Frieze 1902
1:幸福への憧れ 上空に精霊たちが連なって浮遊する。これを辿ると「幸福への憧れ」。人生の苦悩を象徴する裸の男女は、「完全武装の勇者」(黄金の鎧の騎士)に助けを請い、騎士は人類を代表して、幸福を探求する。勇者を包み込むように寄り添う二人の女「同情」と「功名心」。
2:敵対する力 人類に敵対する力、危険や誘惑、世の中に潜在する敵に立ち向かう。ゴリラのような獣は、怪物テュフォン。獣が大きく広げた羽の中に蹲る痩身の女「心を蝕む悲しみ」。テュフォンの左側に立つテュフォンの娘、ゴルゴン三姉妹。「病気・狂気・死」。テュフォンの右側に佇む三人の女「肉欲・淫蕩・不節制」。
3:詩 浮遊する精霊たちに導かれる。竪琴を手にした女、詩の女神。人類の幸福への憧れが詩に癒される。
4:この接吻を全世界に、純粋な喜び、純粋な幸福、純粋な愛 藝術の女たちの祝福を受け、楽園の天使たちが合唱する。抱擁し接吻する男女。「この接吻を全世界に」。Diesen Kuss der ganzen Welt
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参考文献
大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
「クリムト展 ウィーンと日本 1900」東京都美術館・・・黄金の甲冑で武装した騎士、詩の女神に出会う、純粋な愛と理想
https://bit.ly/2ZM5pyR
「ギュスターブ・モロー展 サロメと宿命の女たち」・・・夢を集める藝術家、パリの館の神秘家。幻の美女を求めて
https://bit.ly/2v5uxlY
「ラファエル前派の軌跡展」三菱一号館美術館・・・ロセッティ、ヴィーナスの魅惑と強烈な芳香
https://bit.ly/2Coy0jB
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「祝福されし乙女」・・・藝術家と運命との戦い、ロセッティ最後の絵画
https://bit.ly/2UoqUWz
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マークス・フェリンガー「生命の円環― クリムト自身を映す象徴主義」『クリムト展 ウィーンと日本1900』図録
マークス・フェリンガー「クリムトにとって絵画は、肖像画も風景画も装飾品。」
福元崇志「表現することの逆説」『ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道』図録
【グスタフ・クリムト《接吻》(ベルヴェデーレ宮オーストリア絵画館蔵)】1890、生涯の恋人となるエミーリエ・フレーゲ(1874-1952)と出会い、ウィーンの貴族や上流階級との交流が始まった。二人の足下にある花園は断崖で、かろうじてかかった女性の両足が、転落の予感と背中合わせという二人の瀬戸際の運命的な愛を暗示。1907年《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ》や《接吻》(1907-8)を制作、クリムトの黄金様式が頂点を迎えた。
千足伸行「グスタフ・クリムト《接吻》 溶け落ちる永遠」.
https://artscape.jp/study/art-achive/10152843_1982.html
革新とエロス、多彩な油彩画 「クリムト展 ウィーンと日本1900」
https://www.asahi.com/event/DA3S13984987.html
ライジンガー真樹 クリムトが捧げるベートーベンへのオマージュ 1
https://tokuhain.arukikata.co.jp/vienna/2010/11/post_238.html
――
Gustav Klimt The Beethoven Frieze 1902
Gustav Klimt The Kiss 1907-08
Gustav Klimt Emilie Flöge (aged 17)1891
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19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムト(1862-1918)。華やかな装飾性と世紀末的な官能性をあわせもつその作品は、いまなお圧倒的な人気を誇ります。没後100年を記念する本展覧会では、初期の自然主義的な作品から、分離派結成後の黄金様式の時代の代表作、甘美な女性像や数多く手掛けた風景画まで、日本では過去最多となる25点以上の油彩画を紹介します。ウィーンの分離派会館を飾る壁画の精巧な複製による再現展示のほか、同時代のウィーンで活動した画家たちの作品や、クリムトが影響を受けた日本の美術品などもあわせ、ウィーン世紀末美術の精華をご覧ください。東京都美術館
https://www.tobikan.jp/exhibition/index.html
――
★クリムト展 ウィーンと日本 1900、東京都美術館、4月23日(火)~7月10日(水)
豊田市美術館、7月23日(火)~10月14日(月・祝)

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