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2019年3月 7日 (木)

密教経典『理趣経』・・・空海と金剛界曼荼羅

Kuukai_0Kongokai2019Matsunagayukei大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』第174回
智慧によって、現実の世界と戦う。智慧をこの世界に実現する。これが金剛界のテーマである。 『般若理趣経』は、「般若の知恵に至るための道筋」、智慧の究極に至る道筋である。
『理趣経』の教主は、大日如来であり、その場所は、欲界、第六天、他化自在天である。三界(無色界、色界、欲界)のうち、欲界の支配者が第六天魔王。織田信長は、第六天魔王と自ら称した1573(元亀4)年。*六道輪廻の天道の最下天が他化自在天。
蓮華が泥から咲きいでて、花は汚れに汚されず、すべての欲もまた同じ。そのままにして人を利す。
不空が763年から771年に訳した、不空訳『大楽金剛不空真実三摩耶経』が読誦されている。サンスクリット語原典『般若波羅蜜多理趣百五十頌』(初会『金剛頂経(真実摂経)』『理趣広経』)の訳とされる。
自性清浄の思想を説く経典であるためこの理趣経をめぐって事件が起こった。(十七清浄句が問題とされた)。
空海と最澄
最澄は、弘仁4年(813年)11月23日、『理趣経』の注釈書である不空の『理趣釈経』を借覧しようとしたが、空海は丁重に断った。空海『答叡山澄法師求理趣釈経書』(『遍照発揮性霊集』)
――
1、五成就
序文、誰が《教主》、いつ《時》、どこで《住処》、誰のために《衆》、どのような内容《信》を説いたかという《五成就》が示される。
『般若理趣経』経典の《教主》は五智(大円鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智・清浄法界智)を具えた大毘盧遮那如来であり、《時》はあるとき、《住処》は三界(欲界、色界、無色界)のうち欲界の最頂上にある他化自在天である。
そして、八大菩薩(金剛手、観自在、虚空蔵、金剛拳、文殊師利、纔発心転法、虚空庫、 摧一切魔)を筆頭に、《衆》すなわち数え切れないほど多くの菩薩衆に対して、一切法の清浄句門(=現実の一切の世界は自他の対立を離れた清浄な世界である)という《信》が説かれる。
――
2、初段、「妙適清浄の句、これ菩薩の位なり」で始まり、慾箭・觸・愛縛・見・適悅・愛・慢・莊嚴・意滋澤・光明・身樂・色・声・香・味という男女の合体の経過になぞらえた16の清浄の句も菩薩の位である。(妙適=男女合体の喜び)。
*17清浄句
初段、金剛手を相手に大毘盧遮那が説き、金剛薩埵が「吽」という種字にまとめる。密教の世界では、金剛手も大毘盧遮那も金剛薩埵も同一。
――
3、【『般若理趣経』第三段】「もしこの理趣を聞きて受持し読誦することあらば、たとひ三界の一切の有情を害すも悪趣に堕せず」
空海【聖なる者は悪を滅ぼす】【『理趣経』「第三段」】の教説に関して不空訳『理趣釈』において三界の衆生とは三毒の煩悩と注釈されているが、当該注釈の方向性は空海にも継承され、空海は三界の衆生を害することとは三界の無明を断じることに他ならないとしている。*三毒。貪欲・瞋恚・愚痴。貪瞋痴。
「三界の一切の衆生を害しても、般若理趣の法門を奉じているならば、悪趣に墜ちることは無い」と説かれる。

【『般若理趣経』】「たとひ広く積習するも必ず地獄等の趣に堕せず、たとひ重罪を作るとも消滅せんこと難からず(初段)」「たとひ現に無量の重罪を行ずとも必ず能く一切の悪趣を超越す(第二段)」【『般若理趣経』】「もしこの理趣を聞きて受持し読誦することあらば、たとひ三界の一切の有情を害すも悪趣に堕せず(第三段)」
――
4、第十七段「百字の偈」
菩薩勝慧者乃至盡生死恒作衆生利而不趣涅槃
般若及方便智度悉加持諸法及諸有一切皆清浄
欲等調世間令得浄除故有頂及悪趣調伏盡諸有
如蓮體本染不為垢所染諸欲性亦然不染利群生
大欲得清浄大安楽富饒三界得自在能作堅固利
菩薩は勝れし知慧を持ち、なべて生死の尽きるまで恒に 衆生の利をはかり、たえてねはんに趣かず。
般若及方便、智慧の及ばぬものはなし。もののすがた[=有]も、そのもの[=法]も、一切のものは皆清浄し。
欲が世間をととのえて、よく浄らかになすゆえに、有頂天 もまた悪も、みなことごとくうちなびく。
蓮の体は本染にして、垢(く)の為に染せられざるが如く、諸欲の性も亦然(しか)なり。不染にして群生(ぐんじょう)を利す。
そのままにして人を利 大なる欲は清浄なり、大なる楽に富み饒う。三界の自在身につきて、固くゆるがぬ利を得たり
*五秘密菩薩の境地を詩で表現した。
――
5、五秘密の悟り、深秘の法門、五秘密の巻、『理趣経』17段、
五秘密の教え。金剛薩堙を欲触愛慢の金剛菩薩が囲む。欲金剛、触金剛、愛金剛、慢金剛の四金剛菩薩を東南西北に配し、欲金剛女、触金剛女、愛金剛女、慢金剛女の四金剛女菩薩を東南・西南・西北・東北に配する集会。
五秘密の教えを図解したのが金剛界曼荼羅「理趣会」である。
――
【欲界、六欲天の天人の楽しみ】第六天、他化自在天、他者を楽しませる事を楽しむ。化楽天、自ら楽しみを作り出す。兜率天、宇宙の法則を楽しむ。夜摩天、自然を楽しむ。忉利天、秩序を維持する事を楽しむ。四大王衆天、敵と戦って世界を守る事を楽しむ。
――
空海と真言密教 参考文献
空海の旅 旅する思想家、美への旅
https://t.co/HPPpp3e5iL
旅する思想家、孔子、王羲之、空海と嵯峨天皇
https://bit.ly/2zsD05T
金剛界曼荼羅の五仏、五智如来、転識得智、仏陀への旅
https://t.co/MIXigqe3xH
空海『即身成仏義』、大日如来の知恵 五智如来の知恵
https://bit.ly/2O8YtbU
無我説と輪廻転生、仏教の根本的矛盾・・・識體の転変、種子薫習。名言種子、我執種子、有支種子
https://bit.ly/2U9rO6s
――
「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」・・・醍醐寺三宝院、織田信長のために祈祷する
https://bit.ly/2NHbWso 
六道輪廻、六観音菩薩
「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」東京国立博物館、・・・純粋な美しい魂に舞い降りる
https://bit.ly/2C0ZL2f
空海と密教美術展・・・理念と象徴
https://bit.ly/2Dygyvp
――
参考文献
金岡秀友『理趣経』世界古典文学全集、筑摩書房
宮坂宥勝『密教経典』『理趣経』講談社学術文庫
松長有慶『秘密の庫を開く―密教経典 理趣経』
金剛界曼荼羅「理趣会」
http://www.mikkyo21f.gr.jp/mandala/mandala_kongoukai/07.html
http://blogyang1954.blog.fc2.com/blog-entry-1799.html
https://piicats.net/rishunaiyou.htm

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