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2019年1月 7日 (月)

孤高の思想家と藝術家の苦悩、孫崎享×大久保正雄『藝術対談、美と復讐』

Magosaki2018_1Magosaki2018_02Russia2018_4大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第169回
秋の午後、孫崎享氏の家で歓談した。孫崎先生は、竹林の七賢人のような人である。といったら、孫崎先生は微笑んでいた。抵抗派知識人。清流派知識人である。*
孫崎享氏は、孤高の藝術家を愛好する。壁面に長谷川潔の絵とウズベキスタンのイコン画がある。孫崎享氏は、ロマン派の詩を愛読している。「低く暮らし、高く思うPlain living and high thinking」ワーズワース『ロンドン』。
竹林の七賢人は、3世紀三国時代、魏の司馬炎政府の権力に阿ることを嫌悪し、河南省北東部、竹林にて清談し交遊した七人の賢人。竹林の七賢人には琅邪の王氏の一人がいる、王戎は人間の本質を見ぬく目をもっていた。反骨の知識人である。*偉大な思想家と藝術家は世界と戦い苦悩する。(注1)
【苦悩は、思想と藝術の創造の源泉である。耐え難い苦悩を通して人は自己の存在を高めることができる】織田信長の運命と酷似する。苦しみの原因は、家族、地位、仕事、愛である。(注5)
空海は理念を探求して旅した。空海の苦悩は『聾瞽指帰』に刻まれている。(注6)空海、ロレンツォ・デ・メディチ、プラトン、玄奘三蔵、李白、王羲之、嵯峨天皇、ソクラテス、理念に向かって、旅した人々。理念を追求する人々は、この世の闇の彼方に美を求める。(注6)
――
1、【竹林の七賢、王戎(234-305)】琅邪の王氏。王導、王羲之(303-361)、王献之を生む一族。
東晋の王羲之は、書の名人。権謀術数の官界を嫌い会稽県に赴任、永和九年(353)三月三日に会稽山の山陰の蘭亭にて曲水流觴の宴をひらき、『蘭亭序』を書き、上司王述を避け355年、49歳で官界を引退した。自由の身となり書を書き59歳で死す。*
「上兵は謀を討つ。最高の戦略は、敵の陰謀を討つことである」『孫子』謀攻篇
権力と戦う知識人の精神史 春秋戦国奇譚
https://bit.ly/2P3rfID
旅する思想家、孔子、王羲之、空海と嵯峨天皇
https://bit.ly/2zsD05T
――
2、イワン・クラムスコイ『忘れえぬ女』の目には、涙が光る。運命に挑み、運命を呪う目である。トルストイ『吹雪』の主人公の恋人たちマリアとヴラジーミルのように、愛し合いながらも結ばれぬ運命。
*イワン・クラムスコイ(1837-1887)『忘れえぬ女』1883年
国立トレチャコフ美術館所蔵「ロマンティック・ロシア」Bunkamuraザ・ミュージアム・・・イワン・クラムスコイ『忘れえぬ女』『月明かりの夜』
https://bit.ly/2FSgets
*2018秋の美術展展望 フェルメール、ムンク、ルーベンス、快慶・定慶、トレチャコフ美術館「ロマンティック・ロシア」、醍醐寺展、藤田嗣治、東山魁夷。
――
3、ディミトリー・セルギェーヴィチ・メレシュコフスキー。ギリシア精神の理念を探求した思想家。
『神々の死 背教者ユリアヌス』1894『神々の復活 レオナルド・ダ・ヴィンチ』1896、『ピョートル大帝 反キリスト』1902
*(1865-1941)ロシア宮廷第6代枢密顧問官を父に露都ペテルブルクに生まれる。メレシュコフスキーは、『現代ロシア文学の衰退と新思潮』(1893年)によってロシア象徴主義を公表。メレシュコフスキーとギッピウスは、1901年、宗教哲学協会を創設、ロシア正教聖務会院長官のコンスタンチン・ポベドノスツェフによって禁止された。パリで死去。
――
4、ロマン派の詩人 ウィリアム・ブレイク(William Blake, 1757-1827)『無垢と経験の歌』1787年
ウィリアム・ブレイク「毒のある木」寿岳文章訳 William Blake, Poison Tree
私は私の敵に腹を立てた 私は黙っていた 私の怒りはつのった そして私はそれに恐怖の水をかけ 夜も昼も私の涙をそそいだ そして私はそれを微笑みの陽にあて 口あたりのよい欺瞞の肥料で育てた
「毒のある木」は、密教の呪詛調伏、怨敵調伏の真言である。
「一粒の砂の中に世界を見、一輪の花に天国を見るために。掌で無限を握り、一瞬のうちに永遠を掴め。」ウィリアム・ブレイク William Blake詩集『ピカリング草稿』『無垢の予兆』よりAuguries of Innocenceウィリアム・ブレイク
【死生学】一粒の砂の中に世界を見、一輪の花に天国を見るために。掌で無限を握り、一瞬のうちに永遠を掴め。ウィリアム・ブレイク William Blake詩集『ピカリング草稿』。
「無垢の予兆」Auguries of Innocence
To see a World in a grain of sand,And a Heaven in a wild flower,
Hold Infinity in the palm of your hand,And Eternity in an hour.
詩人は1803年、John Schofieldという兵隊と口論になり、国家扇動罪(seditious statements)を行ったとして裁判にかけられる。勝訴するが、詩人に大きく影響した。難解な表現をすることで攻撃的な思想を隠す独自の表現技法を確立。歓喜に充ち溢れる生命を讃える「無心の歌」、無垢を喪失した悲しみの世界を描く「経験の歌」、そして呪縛からの解放を歌う「天国と地獄との結婚」。ブレイク初期の傑作三詩集。
――
5、織田信長、謀反に始まり、謀反に死す。壮絶な人生。天下布武、階級社会を破壊。
【織田信長、壮絶な戦い】父信秀の葬儀で位牌に抹香を投げつける。18歳。稲生の戦い、弟信行の謀反1700人に信長700人で戦う。23歳。信行2度目の謀反、清州城天主次の間で返り討ち、24歳。本能寺の変、信長70人に光秀1万3千人。自刃。49歳。
戦国時代、織田信長の思想 ルイス・フロイス『日本史』、太田牛一『信長公記』
和田裕弘『信長公記―戦国覇者の一級史料』中公新書
和田裕弘『織田信長の家臣団―派閥と人間関係』中公新書
織田信長、茶を愛好、本能寺の変、天下布武、天下の三肩衝・・・『戦う知識人の精神史』『旅する哲学者 美への旅』
https://bit.ly/2R1G0fU
――
【織田信長の価値観】1、美しい人。卓越性のある人。2、役に立つ人。3、地位、肩書き、外面だけで役立たずな人。『旅する哲学者 美への旅』
――
6、【空海、波瀾の遣唐船漂流、謎の生涯】24歳で『聾瞽指帰』を書く。57歳で『秘蔵宝鑰』を書く。
大学入学18歳から31歳、遣唐使、留学僧、入唐まで、大学中退、山林修行、謎の12年間。宝亀5年(774)6月15日生まれる。承和2年(835) 4月22日入定、62才。
24歳で『聾瞽指帰』797年を書く。57歳で『秘蔵宝鑰』830年
【空海、聖なる者は悪を滅ぼす】『理趣経』第三段。金剛手よ、もし理趣を聞きて受持し読誦することあらば、たとえ三界の一切の有情を害するも悪趣に堕せず。松長有慶『理趣経』
参考文献
空海の旅 旅する思想家、美への旅
https://t.co/HPPpp3e5iL
旅する思想家、孔子、王羲之、空海と嵯峨天皇
https://bit.ly/2zsD05T
加藤純隆『空海 三教指帰』加藤純隆『空海 秘蔵宝鑰』角川ソフィア文庫
――
7、ローレンス・スターン『トリストラム・シャンディ』*のアンチリアリズムの実験をした夏目漱石『草枕』
(*未完の小説。全9巻1759年の末から1767年)。この18世紀小説に、20世紀文学、アンチリアリズム文学は深い影響を受けた。アンドレ・ジイド、カフカ、ジェイムズ・ジョイズ『フィネガンズ・ヴェイク』、ヴァージニア・ウルフ、マルセル・プルースト。日本の明治文学は、1900年以降、やっとリアリズム文学に辿りつく。花袋『布団』藤村『破戒』。【漱石山房記念館、開館1周年記念講演会、奥泉光『漱石の孤独』】2018年10月8日
――
★参考文献
ロマン派詩人 地中海、美への旅 大久保 正雄「旅する哲学者 美への旅」第77回
https://t.co/nqAsdA8wKg
成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。努力と才能は人を裏切る。貧困と逆境ゆえに成り立つ無償の愛。
水木しげる「幸福の七ヶ条」・・・美しい守護精霊は美しい魂を守る
https://bit.ly/2Q4dny8
新古今歌人、悲恋の花、式子内親王、西行、美への旅
大久保正雄「旅する哲学者 美への旅」第92回新古今歌人
https://t.co/2TYuF5tpEw
王朝ピラミッド ピラミッド・クライマーの官僚たち
奈良平安時代は、すべての産業は国家事業である。あるのは国家の行政職だけで、総定員1万3千人、正規雇用といえる職員は、1千人。正一位にいたる三十階級に位置づけられる。
五位以上でなければ貴族ではない。「五位は物の数でもない」紫式部日記。
https://t.co/2TYuF5tpEw
★山口博『王朝貴族物語』第2章、講談社現代新書1994
十一面観音菩薩、怒りと争いの修羅道を救う。准胝観音菩薩(不空羂索観音菩薩)、四苦八苦の人道を救う。如意輪観音菩薩、神通力をもつ天人を救う。
「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」東京国立博物館、・・・純粋な美しい魂に舞い降りる
https://bit.ly/2C0ZL2f

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