2019新春、桃之夭夭、灼灼其華・・・旅する哲学者 美への旅
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第168回
1、時を超える不滅の魂
美しい魂は、永劫回帰の時を超える。時を超えて蘇る。北斎は、20歳で絵師となるが売れず、苦節50年、『富岳三十六景』『神奈川沖浪裏』(1831)まで雌伏。北斎は、九十歳で死ぬまで絵を描きつづける。74歳にして画狂老人卍『鳳凰図屏風』(1835)、87歳『八方睨み鳳凰図』(1848)、88歳『富士越龍図』(1849)。90歳にして「天我をして五年の命を保たしめば、真正の画工となるを得べし」「画工北斎は畸人なり。年九十にして居を移すこと九十三所。」飯島虚心『葛飾北斎伝』。
美は真であり、真は美である。これは、地上にて汝の知る一切であり、知るべきすべてである。
美しい魂は、輝く天の仕事をなし遂げる。美しい女神が舞い下りる。美しい守護精霊が、あなたを救う。
永遠を旅する哲学者は、時を超えて、理念を追求する。黄昏の丘に降り立ち、不滅の魂の神殿に到達する。美のイデアへの旅。
大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
2、理念を探求する精神
空海、ロレンツォ・デ・メディチ、プラトン、玄奘三蔵、李白、王羲之、嵯峨天皇、ソクラテス、理念に向かって、旅した人々。理念を追求する人々は、この世の闇の彼方に美を求める。
理念を追求する精神は、知性によって運命と戦い、地上に美を成就する。メディチ家のプラトン・アカデミーは1499年に滅びる。しかし、逆境の時を超え、滅亡から400年後蘇る。
3、復讐する精神 聖なる者、悪と戦い、滅ぼす
【復讐する偉大な王】アレクサンドロス大王、クレオパトラ7世、弟プトレマイオス14世を暗殺。プロイセンのフリードリッヒ大王、織田信長、偉大な人生は、復讐から始まる。絶望に立ち向かう。絶望を超えて、復讐を果たし、天の仕事を成し遂げる。
【復讐劇】復讐劇の傑作、『オレステス』、『ハムレット』、『モンテ・クリスト伯』、ウィリアム・ブレイク『有心の歌』「毒のある木」、『スウィーニー・トッド』。復讐する人は、絶望に立ち向かう。絶望を超えて、美の理念を成し遂げる。
【『般若理趣経』第三段】「もしこの理趣を聞きて受持し読誦することあらば、たとひ三界の一切の有情を害すも悪趣に堕せず」
空海【聖なる者は悪を滅ぼす】【『理趣経』「第三段」】の教説に関して不空訳『理趣釈』において三界の衆生とは三毒の煩悩と注釈されているが、当該注釈の方向性は空海にも継承され、空海は三界の衆生を害することとは三界の無明を断じることに他ならないとしている。*三毒。貪欲・瞋恚・愚痴。貪瞋痴。
『理趣経』「第三段」「金剛手よ、もし理趣を聞きて受持し読誦することあらば、たとえ三界の一切の有情を害するも悪趣に堕せず。」松長有慶『理趣経』
4、蘇る魂 逆境を超える
理念を探求する人は、逆境の時を超えて、蘇る。不屈の思想家、藝術家、創造の秘密は、苦悩にある。大王、藝術家、詩人は。4つの苦しみに苦悩する。家族の苦しみ、地位の苦しみ、職業の苦しみ、愛の苦しみ。フィリッポス2世の王子、アレクサンドロス3世、プトレマイオス12世の王女、クレオパトラ7世、織田信長、花巻商人の子、宮澤賢治。
【死生学】どんなに教養があって立派な人でも、心に傷がない人には魅力がない。他人の痛みというものがわからないから。フジ子・ヘミング『魂のことば』
5、本質を探求する
理念を探求する人は、本質を探求し、見えざる美を探求する。理念を探求する思想家、見えざる美をみる詩人、不可視のイデアをみる藝術家。本質は目で見えない。心の目でのみ見ることができる。
究極の価値は、地位と権力とカネによって手に入れられないものである。
【偉大なる王の死】アレクサンドロス3世、33歳。ダレイオス1世66歳。ダレイオス3世60歳。ラムセス2世92歳、子供100人を残す。ハトシャプスト女王49歳。アクエンアテン王29歳。ツタンカーメン18歳。アンケセナーメン27歳。美しき宗教改革者ネフェルティティ63歳。絶対権力者が手に入れられない4つの秘宝がある。
【死生学】富とは、お金で買えないものをどのくらい持っているかである。お金で家は買えるが家庭は買えない。お金で学校は買えるけれど学問は買えない。知性は買えない。支配階級は、お金で地位は買えるけれど人格は買えない。魂は買えない。美は買えない。
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
6、戦う知識人の精神史
「人間の真の姿がたち現れるのは、運命に敢然と立ち向かう時である」シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』
史上最高の指揮官、テミストクレス、アレクサンドロス大王の戦いが、アカデメイア派のプルタルコス『英雄伝』に刻まれている。孔子、孫子、思想家の運命との戦いは、怨念の歴史家、司馬遷『史記』、『孔子世家』『孫子呉起列伝』に刻まれている。織田信長、父信秀の葬儀18歳、23歳の稲生の戦い、清州城で復讐24歳から49歳の本能寺の変にいたる壮絶な人生、『信長公記』ルイス・フロイス『日本史』に刻まれている。
7、永遠を旅する哲学者、イデアへの旅
存在の彼方に、善と美のイデアがある。存在の根拠は美と善である。人間存在の秘密は、たんに生きることにあるのでなく、何のために生きるかである。
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
――
参考文献
大久保正雄『戦う知識人の精神史』
織田信長、茶を愛好、本能寺の変、天下布武、天下の三肩衝・・・『戦う知識人の精神史』『旅する哲学者 美への旅』
https://bit.ly/2R1G0fU
織田信長、天下布武、知的で革命的。既存の階級社会、価値観を否定・・・戦う知識人の精神史
https://bit.ly/2MP00UY
織田信長、復讐する精神、卓越した情報力、壮絶な精神・・・『戦う知識人の精神史』
https://bit.ly/2x8ZNBm
織田信長、信長包囲網との戦い、八つの戦い、比叡山、天下一の名城、安土城・・・『戦う知識人の精神史』
https://bit.ly/2FkeiJX
「上兵は謀を討つ。最高の戦略は、敵の陰謀を討つことである」『孫子』謀攻篇
権力と戦う知識人の精神史 春秋戦国奇譚
https://bit.ly/2P3rfID
――
若き織田信長、親は敵、兄弟は最大の敵、復讐する精神・・・『戦う知識人の精神史』
https://bit.ly/2lbezTP
【醍醐寺三宝院 天正元(1573)年】織田信長のために真言密教の祈祷、修法を行う。「織田信長黒印状」醍醐寺三宝院における戦勝祈願の修法への礼状を信長より返信。「天下布武」印。1573三方が原の戦い(武田信玄)、武田信玄死す。武田信玄の死と包囲網瓦解。1573年5月13日。
https://bit.ly/2NHbWso
★葛飾北斎『鳳凰図屏風』『弘法大師修法図』1844-47
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