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2018年3月10日 (土)

「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」・・・フェリペ4世と宮廷画家ベラスケス

20180224大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第140回
ベラスケスの絵を見ると、イベリア半島をめぐり、スペインの大地を旅した日々を思い出す。『アランフェス協奏曲』をきくと、スペインの哀愁が蘇る。アルハンブラ宮殿、トレドのアルカサール、ロンダの断崖。プラド美術館、ベラスケス『ラス・メニーナス』、ヒエロニムス・ボス『快楽の園』。サン・トトメ教会のエル・グレコ『オルガス伯の埋葬』。
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ベラスケス「王太子バルタサール・カルロスの騎馬像」。フェリペ4世の子、6歳の姿を描いた絵画。馬の前足を上げる凛々しい雄姿。スペイン・ハプスブルグ帝国の王位を継ぐ予定だったが16歳で亡くなった。フェリペ4世の王女マルガリータ・テレサは、14歳で結婚、21歳で死ぬ。権力至上のハプスブルグ帝国は、青い血の血族結婚で滅びる。
ベラスケスは、19世紀半ばエドゥアール・マネに発見されるまで知られざる画家だった。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 イデアへの旅』
大久保正雄『藝術家と運命との戦い、運命の女』
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17世紀、スペイン・ハプスブルク帝国の落日、美術の黄金の世紀
■ディエゴ・ベラスケスDiego Velázquez (1599-1660)
1623年、24歳の若さで国王フェリペ4世の王直属の画家になる。33年間の宮廷画家、官僚生活を内心は嫌悪していた。1652年宮廷配室長になり、王宮の鍵を管理する。官僚の激務で、61歳で死す。心筋梗塞。
1628年—1629年、宮廷画家。外交官ルーベンス、マドリッド訪問。美術愛好家フェリペ4世により、宮廷内にアトリエを与えられる。ベラスケス、ルーベンスに教えを受ける。ベラスケス、1628年ルーベンスに「ヴェネツィア派ティツィアーノ」の偉大さを教えられる。1629年、1回目のイタリア旅行に行く。1647年、2回目のイタリア旅行(1647~1651年)。1651年ベラスケス、イタリア旅行から帰国。5歳の王女マルガリータを描く。最高傑作『ラス・メニーナス』1656『白衣の王女マルガリータ』1656
ベラスケスは、破天荒な天才画家ではなく階級社会に従順な優等生宮廷画家である。だが2度のイタリア旅行で、藝術に目覚め、人間に目覚めた。
■フェリペ4世Felipe IV, 1605 在位1621—65 60歳でマドリードで死ぬ。
2人の王妃、イザベル、マリアナ
王妃マリアナは息子バルタサール・カルロスの婚約者であったが、早世したためその父フェリペ4世の2番目の妻となる。フェリペ4世が溺愛した妹マリア・アンナ王女の子である。伯父と姪の結婚である。
フェリペ4世の子女は、14人がいるが、ハプスブルク家は広大な領土を守るため血族結婚を繰り返し、フェリペ4世の子どもたちは殆ど幼くして夭折する。
バルタサール・カルロス(1629年 - 1646年)、マルガリータ・マリア・テレサ(1651年 - 1673年)、フェリペ・プロスペロ(1657年 - 1661年)。
■王女マルガリータ・テレサ・デスパーニャMargarita Teresa D’Espagna (1651—1673)
王女マルガリータは、14歳で結婚、21歳で死ぬ。ベラスケスの死後13年、1673年、死去。
■ハプスブルク家の蒐集家たち 太陽の沈まぬ帝国、帝国の落日
ティツィアーノを召し抱えたカール5世、スペイン王フェリペ2世は、ヒエロニムス・ボスを愛好した。フェリペ4世は、ベラスケスを宮廷画家、官僚にした。アルブレヒト・デューラーを庇護したマクシミリアン1世、マクシミリアン1世の子、フィリップ美公は、ヒエロニムス・ボスを愛好した。これがスペイン王宮に残る。ブリューゲル1世を愛好したルドルフ2世。
フェリペ2世は、太陽の沈まぬ帝国を築く。スペイン絶対王政の最盛期。1571年、レパントの海戦で勝利、ポルトガル併合。カトリック政策で、オランダ独立を招く。1588年、無敵艦隊がイギリスに敗れる。
帝国の落日、フェリペ4世は、スペイン・ハプスブルク家を滅亡に導くが、美術蒐集家として名を残す。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
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展示作品の一部
ディエゴ・ベラスケス「王太子バルタサール・カルロス騎馬像」1635年頃、プラド美術館蔵
ディエゴ・ベラスケス「狩猟服姿のフェリペ4世」1632-34年、プラド美術館蔵
ディエゴ・ベラスケス「メニッポス」(1638頃)
ディエゴ・ベラスケス「バリェーカスの少年」1635-45年、プラド美術館蔵
ディエゴ・ベラスケス「マルス」1638年頃、プラド美術館蔵
ディエゴ・ベラスケス「フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像」1635頃、プラド美術館蔵
ディエゴ・ベラスケス「東方三博士の礼拝」1619年頃、プラド美術館蔵
ティツィアーノ「音楽にくつろぐヴィーナス」1550頃、プラド美術館蔵
ペーテル・パウル・ルーベンス「聖アンナのいる聖家族」1630頃、プラド美術館蔵
ヤン・ブリューゲル(父)、ヘンドリク・ファン・バーレン、ヘラルト・セーヘルスら「視覚と嗅覚」1620年頃、プラド美術館蔵
ルーベンス&ヨルダーンス「アンドロメダを救うペルセウス」1639-41年プラド美術館蔵
ルーベンスの絶筆とされ、死後、弟子ヨルダーンスが完成させたことになっている。
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参考文献
ハプスブルク帝国年代記 王女マルガリータ、帝国の美と花
https://t.co/T2it2d8Zb1
ハプスブルク帝国、ヴェラスケス、黄昏の光芒
http://bit.ly/2zGK4N2
スペイン・ハプスブルグ家、太陽の沈まぬ帝国、黄金の世紀
http://bit.ly/2oulcAv
マクシミリアン1世(神聖ローマ皇帝1493年—1519年)
http://platonacademy.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-09fb.html
ハプスブルク家の蒐集家たち「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」
http://bit.ly/2DiTQnd
大高保次郎「宮廷画家ベラスケスの挑戦と革命 ボデゴンと肖像から物語絵へ」『プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光』図録
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マドリードにあるプラド美術館は、スペイン王室の収集品を核に1819年に開設された、世界屈指の美の殿堂です。本展は、同美術館の誇りであり、西洋美術史上最大の画家のひとりであるディエゴ・ベラスケス(1599-1660年)の作品7点を軸に、17世紀絵画の傑作など61点を含む70点をご紹介します。
17世紀のスペインは、ベラスケスをはじめリベーラ、スルバランやムリーリョなどの大画家を輩出しました。彼らの芸術をはぐくんだ重要な一因に、歴代スペイン国王がみな絵画を愛好し収集したことが挙げられます。国王フェリペ4世の庇護を受け、王室コレクションのティツィアーノやルーベンスの傑作群から触発を受けて大成した宮廷画家ベラスケスは、スペインにおいて絵画芸術が到達し得た究極の栄光を具現した存在でした。本展はそのフェリペ4世の宮廷を中心に、17世紀スペインの国際的なアートシーンを再現し、幅広いプラド美術館のコレクションの魅力をたっぷりとご覧いただきます。
http://www.nmwa.go.jp
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★日本スペイン外交関係樹立150周年記念
「プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光」国立西洋美術館、2018年2月24日-5月27日
兵庫県立美術館、2018年6月13日(水)~10月14日(日)

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