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2018年1月31日 (水)

「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」・・・「婚礼の踊り」

20180123Hunters大久保 正雄『旅する哲学者 美への旅』第136回
雪の中、森を歩いて美術館に行く。ブリューゲル「雪中の狩人」の光景を思い出す。
私は、ハプスブルグ帝国の大地を旅した。早春のスペイン、灼熱のウィーン、プラハ、ブダペスト。美しい青春の日々。ウィーン美術史美術館で、ブリューゲル「雪中の狩人」(1565年)をみた。プラド美術館で、悪魔と怪奇の画家、ヒエロニムス・ボス「快楽の園」(1510)、をみて眩暈がした。ボス「愚者の石の切除」は権威の地位に立って民衆を欺く知識人の欺瞞の姿を露呈。ヒエロニムス・ボスは、虚妄の権威を暴いた。フィリップ美公の蒐集を受け継ぐフェリペ2世。フェリペ2世は、至高の地位に立って、人間の本質に何をみたのか。
■ブリューゲル一族 150年の血族、9人の画家
ピーテル1世は、イタリアに旅し、絵画を学んだ。ピーテル2世、ヤン1世、アブラハム・ブリューゲルも、イタリアに旅し、絵画を学ぶ。
細密画の技法で、宗教画、風景画、風俗画(寓意画)、花の静物画、に秀でた画家一族。ピーテル1世は、44歳で死に、子孫はどう生きたか。ハプスブルグ家ルドルフ2世と兄ネーデルランド総督に12点蒐集されウィーン美術史美術館に所蔵された。ブリューゲル一族は、ピーテル・ブリューゲル1世が始祖。子、孫、ひ孫、4世代、150年続く、9人の画家がいた。
ピーテル2世は、薄利多売で、職人を多数雇い、画家経営が貧困に苦しむ。
ヤン1世は、上流階級を顧客に抱え、大儲けする。家を6軒、アントウェルペンに所有する。ルーベンスと共同制作する。花輪と聖母を描き入れた
アブラハム・ブリューゲルは、イタリア留学してフランドルに帰らず。風景画と花と果実の静物画で、人気画家となり、富裕になる。投機に失敗して、娘の持参金が払えず、娘は結婚できず修道院に入る。
孫のヤン2世は、寓意画と神話画を得意とした。ひ孫のヤン・ファン・ケッセル1世は、異国趣味と自然探求が得意で昆虫の標本を精密に描いた。
宗教改革の嵐の予兆
宗教改革1517(95か条の論題)の嵐の予兆。ネーデルランドの支配体制が崩壊する。支配階級の嘘が、暴かれるとき。16世紀、価値体系が滅びる。
きれいは汚い、汚いはきれい。Fair is foul, and foul is fair. (『マクベス』第一幕第一場)。
「大道廃れて、仁義あり。慧智出でて、大偽あり」
宗教改革 (1517『95か条の論題』)から、ほぼ百年後に起こった三十年戦争(1618~48年)によって、神聖ローマ帝国は崩壊、ハプスブルク家とブルボン家の対立は、ハプスブルク滅亡の始まりである。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』
大久保正雄『藝術と運命との戦い、運命の女』
―――
ピーテル・ブリューゲル1世
ピーテル・ブリューゲル1世(1525—1569)、44歳で死す。
1551年、アントウェルペンで画家として登録。1553年、イタリアに旅立ち、ローマに滞在した。1559年、ヒエロニムス・ボッシュに影響を受けた幻想的な版画で名声を確立した。*
月暦画シリーズ『『雪の中の狩人』(1565年)は、晩年の作品である。
1563年、アントウェルペンからブリュッセルに移転して結婚し、1569年、没した。
ピーテル・ブリューゲル『バベルの塔』(1563年ウィーン美術史美術館)
ピーテル・ブリューゲル『バベルの塔』(1565年頃ボイマンス美術館)
ピーテル・ブリューゲル『雪の中の狩人』(1565年ウィーン美術史美術館)
――
展示作品の一部
マールテン・ファン・ファルケンボルフ「バベルの塔」1580頃
ピーテル・ブリューゲル2世『鳥罠』1601年。
凍りついた湖に鳥罠が仕掛けられている。餌が仕掛けられ、鳥が罠にかかる。氷湖に薄氷の穴がある。人生の寓意。鳥罠がある湖の冬景色。原作は、ピーテル・ブリューゲル1世。
ピーテル・ブリューゲル2世「野外での婚礼の踊り」1610年頃
ヤン・ブリューゲル1世、ヤン・ブリューゲル2世「机上の花瓶に入ったチューリップと薔薇」1615-20年頃
ヤン・ブリューゲル2世「視覚の寓意」1645—50
アブラハム・ブリューゲル「果実の静物のある風景」1670
ヤン・ファン・ケッセル1世「蝶、カブトムシ、コウモリの習作」1659年
ヤン・ファン・ケッセル1世「蝶、カブトムシ、コウモリ、カマキリの習作」1659年
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参考文献
ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」・・・幻想の画家ボスとブリューゲル
https://t.co/fIWq6mj12v
http://platonacademy.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-6734.html
ハプスブルグ家の偉大な美術蒐集たち
「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」・・・ハプスブルグ家の悪趣味の館
http://bit.ly/2DiTQnd
http://platonacademy.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/22-bfbe.html
ベルギー、奇想の系譜、ザ・ミュージアム・・・怪奇と幻想うごめくフランドル
http://platonacademy.cocolog-nifty.com/blog/2017/08/post-09fb.html
――
16、17世紀のヨーロッパにおいてもっとも影響力を持った画家一族のひとつであったブリューゲル一族。一族の祖であるピーテル・ブリューゲル1世は、現実世界を冷静に見つめ、人間の日常生活を何の偏見もなく、ありのままに表現した革新的な画家でした。この観察眼は、子から孫、ひ孫へと受け継がれ、一族の絵画様式と伝統を築き上げていくことになります。
父の作品の忠実な模倣作(コピー)を手掛けた長男のピーテル2世。父の自然への関心を受け継いで発展させ、多くの傑作を残したヤン1世。そして、ヤン2世やアンブロシウス、アブラハムといったヤン1世の子孫たちが、一族の作風を受け継ぎ、「ブリューゲル」はひとつのブランドとして確立されていくのです。
本展は貴重なプライベート・コレクションの作品を中心とした約100点の作品により、ブリューゲル一族と、彼らと関わりのある16、17世紀フランドル絵画の全体像に迫ろうという挑戦的な展示になります。
★「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」東京都美術館
1月23日—4月1日 
http://www.tobikan.jp/
――
豊田市美術館、2018年4月24日(火)~ 7月16日(月・祝)
札幌芸術の森美術館、2018年7月28日(土)~9月24日(月・祝)

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