色香ゆかしき白百合、『相思樹の譜』、ひめゆり学徒隊
大久保正雄「旅する哲学者 美への旅」第94回
色香ゆかしき白百合、『相思樹の譜』、ひめゆり学徒隊
友よいとしの我が友よ、色香ゆかしき白百合の心の花と咲き出でし世に香ぐはしく馨るらむ*
幽冥界、生と死の境、黄昏の樹林で、亡き友を思い出すときがある。なぜか、強烈な郷愁を感じる。雪月花の時、最も君を憶う。美しい魂をもつ人に祈りをささげる。
はちみつ色の夕暮れ、黄昏の丘、黄昏の森を歩き、迷宮図書館に行く。糸杉の丘、知の神殿。美しい魂は、光輝く天の仕事をなす。美しい女神が舞い下りる。美しい守護精霊が、あなたを救う。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデア』
相思樹の樹々わたりゆく風の音 亡友の声かと耳澄まし聞く
学半ば逝きにし学友を 偲びつつ詠みつぎゆかむ相思樹の詩
生きよとも哀しめよとも、相思樹の黄花こぼるる 現し身吾に
★上江洲慶子『歌集 相思樹の譜』
■友よいとしの我が友よ
友よいとしの我が友よ、色香ゆかしき白百合の心の花と咲き出でし世に香ぐはしく馨るらむ
★沖縄県立第一高等女学校校歌
■戦争の悲劇【ひめゆり学徒隊】
ひめゆり学徒隊は、15歳から19歳の女学生、看護婦として陸軍病院で働き、摩文仁野で集団自決した。
沖縄師範学校女子部・沖縄県立第一高等女学校の女学生、二百四十名のうち、百三十六名が戦死する悲劇の中で、ひめゆり学徒隊は働き続けた。
闇夜に「ふるさと」の歌
波が打ち寄せる絶壁の上で、輪になって座っていた女性とたちはしくしく泣き出した。深夜だった。「もう一回、太陽の下を大手を振って歩いてから死にたいね」。輪の中の1人がそうつぶやくと、まもなくだれからともなく「ふるさと」の歌が始まった。(『琉球新報』)
★Leonardo, Isleworth Mona Lisa,1503
★藤野一友『抽象的な籠』1964
★参考文献
1. 上江洲慶子『歌集 相思樹の譜』
田中章義「歌鏡」『サンデー毎日』2014.7.6号、P55
2. [81 女学生の集団自決(1)]「太陽見て死にたい」琉球新報2010年3月2日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-158594-storytopic-215.html
3.映画『あゝひめゆりの塔』吉永小百合 1968、日活
4.ひめゆり学徒隊平和記念資料館
5.「ふるさと」文部省唱歌
一 夢は今もめぐりて
忘れがたき故郷
二 雨に風につけても
思いいずる故郷
三 志を果たして いつの日にか帰らん
山は青き故郷 水は清き故郷
6.聖母(マドンナ)たちのララバイ
さあ 眠りなさい 疲れきった身体を投げ出して 青いその瞼を 唇でそっとふさぎましょう。ああ できるのなら生まれ変わり あなたの母になって 私のこの命さえ 投げ出してあなたを守りたいのです。この街は戦場だから 男はみんな傷を負った戦士 どうぞ心の痛みを拭って 小さな子供の昔にかえって 熱い胸に甘えて。
大久保正雄2016年9月4日
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