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2016年8月 5日 (金)

シェイクスピア 世界劇場 美への旅

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大久保正雄「旅する哲学者 美への旅」第72回シェイクスピア世界劇場
シェイクスピア 世界劇場 美への旅

黄昏の森を散歩する。黄昏の森の迷宮図書館で瞑想する。箪笥の中の香水壜から思い出が、魂の翼を拡げて羽ばたく。ボードレール『香水壜』のように、
人間の真の姿がたち現れるのは、運命に敢然と立ち向かう時である。シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』
シェイクスピア(1564—1616)は、16世紀ルネサンス、価値の崩壊と下剋上の時代、美しく生きる人間を創造した。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』

■シェイクスピア 世界劇場 人生は舞台
人が生きるあらゆる場面で、シェイクスピアの言葉が蘇ってくる。世界は劇場であり、人生は舞台である。
人間、衣裳をはぎ取れば、哀れな裸の二本足の動物に過ぎない。『リア王』
どんなに荒狂う嵐の日にも時間はたつのだ。『マクベス』
人は、ほほえみ、ほほえみ、しかも悪党たりうる。『ハムレット』
目はおのれを見ることができぬ、何か他のものに映してはじめて見える。『ジュリアス・シーザー』
権威の座にある人は、他のものと同じように過ちを犯しても、罪のうわべを繕う力をお持ちだから。シェイクスピア『尺には尺を』
嫉妬深い人は、理由があるから嫉妬するのではなく、嫉妬深いから嫉妬する。『オセロ』
人間の真の姿がたち現れるのは、運命に敢然と立ち向かう時をおいて他にない。『トロイラスとクレシダ』
シェイクスピアの言葉は、人間と世界をみる鏡である。
ソクラテスは、美しく生きることを哲学の根本とした。シェイクスピア(1564—1616)は、16世紀、ルネサンスの下剋上の時代、美しく生きる人間を創造した。

■シェイクスピアと地中海
シェイクスピア(Shakespiare,1564—1616)は、一度も地中海に行ったことがない。が、地中海世界を舞台にした作品が圧倒的に多い。例えば、『オセロ』は、ヴェネツィアとキプロス島が舞台。『ハムレット』『リア王』『マクベス』『リチャード3世』など、少数の例外を除いて、地中海世界が舞台である。『ジュリアス・シーザー』『アントニーとクラオパトラ』『コリオレイナス』は、科白にいたるまで『プルタルコス英雄伝』に酷似している。『タイタス・アンドロニカス』は古代ローマを舞台にしたエリザベス朝悲惨劇である。シェイクスピアは、饒舌、言葉の洪水の魔力。複雑なプロット構成が巧み。ロマンティック劇はエウリピデスに通じる。
ギリシア悲劇の古典主義にないものは、愛を探求するロマン主義と、自由奔放である。(小田島雄志『シャイクスピアの人間学』)
『ロミオとジュリエット』『ヴェニスの商人』、イタリアを舞台とする作品が多い。シェイクスピアは、夢を劇作によって世界の形にした。夢に生きる人生は、夢を生涯追求する。
シェイクスピアとラフェロ前派(Pre-Raphaelite)
ロマン派の画家、ラフェロ前派(Pre-Raphaelite)は、シェイクスピアの世界を視覚化した。ロマン主義は、愛の主題と自由奔放が、古典主義の調和と均整の美を破る。ジョン・エヴァレット・ミレイ、ロセッティ、ウィリアム・モリスの世界は、シェイクスピアの愛の世界と通じている。

■シェイクスピアは、現象と真実(Appearance and Reality)を凝視した。プラトンの「現象と本質」「生成と存在」「虚偽と真実」の存在論と同根である。ここに、ルネサンスの萌芽がある。
■「現象と真実」Appearance and Reality
時として、見かけは本質をあらわさない。
世界は飾りによって騙される。
So may the outward shows be least themselves:
The world is still deceived with ornament.
『ヴェニスの商人』The Merchant of Venice (Bassanio at III, ii)
人は微笑みながら、惡人でありうる。
One may smile, and smile, and be a villain.
『ハムレット』Hamlet,1.4.108

「影と本質」Shadow and Substance
シェイクスピア『ソネット』53)
あなたの本質は何でしょう、あなたは何から作られているのでしょうか?
百万もの影があなたにかしづいているのはなぜでしょう?
人間はそれぞれ影をひとつだけ持っていますが、
あなたはひとりの人間なのにあらゆる影を創り出せる。
美少年アドニスの姿絵がありますが、
あれは君を描こうとして失敗したものにすぎません。
また、美の技法をつくしてヘレンの顔を描こうとしても、
結局はギリシア服のあなたを描くことになるでしょう。
うるわしの春、実りの秋にしても、
所詮あなたの美しさのものまねであり、
かぎりない豊かさをちらりと示したにすぎないでしょう。
美しいかたちがあれば必ずそこにあなたがいます。
 外見の美はすべてあなたの美しさのおすそ分け、
 でも、変わらぬ心、内面の真実はあなただけのもの。
What is your substance*1, whereof are you made,
That millions of strange shadows*2 on you tend?
The Sonnets 53 (シェイクスピア『ソネット』53)

■世界劇場
All the world's a stage, And all the men and women merely players.
この世はひとつの舞台であり、人は男も女もみな役者なのだ。『お気に召すまま』(As You Like It)
I hold the world but as a world, Gratiano, A stage where every man must play a part.
グラシアーノ、僕はこの世をひとつの世界だって思っているよ、つまり、誰もが役をこなさなけりゃならない舞台だってね。『ヴェニスの商人』(The Merchant of Venice)
How many ages hence, Shall this our lofty scene be acted over.
どのように時代は過ぎても、我らの行なったこの崇高な場面は繰り返し演じられることであろう。『ジュリアス・シーザー』(Julius Caesar)
■世界は舞台
消えろ消えろ、束の間のともし火
人生は歩く影、貧しい役者だ。
束の間の舞台の上で威張りくさって歩いてみるが、
出場が終われば耳を傾ける者もない『マクベス』
To-morrow, and to-morrow, and to-morrow,
Creeps in this petty pace from day to day,
To the last syllable of recorded time;
And all our yesterdays have lighted fools
The way to dusty death. Out, out, brief candle!
Life's but a walking shadow; a poor player,
That struts and frets his hour upon the stage,
And then is heard no more: it is a tale
Told by an idiot, full of sound and fury,
Signifying nothing.
*Macbeth ,5.5.23
全世界は舞台、
男も女も役者にすぎない。
退場と登場がある。
人は自分の時代に多くの役を演じる。
人生には7つの時代がある。『お気に召すまま』
All the world's a stage,
And all the men and women merely players:
They have their exits and their entrances;
And one man in his time plays many parts,
His acts being seven ages. At first the infant, As You Like It 2.7
Mewling and puking in the nurse's arms.
And then the whining school-boy, with his satchel
And shining morning face, creeping like snail
Unwillingly to school. And then the lover,
Sighing like furnace, with a woeful ballad
Made to his mistress' eyebrow. Then a soldier,
Full of strange oaths and bearded like the pard,
Jealous in honour, sudden and quick in quarrel,
Seeking the bubble reputation
Even in the cannon's mouth. And then the justice,
In fair round belly with good capon lined,
With eyes severe and beard of formal cut,
Full of wise saws and modern instances;
And so he plays his part. The sixth age shifts
Into the lean and slipper'd pantaloon,
With spectacles on nose and pouch on side,
His youthful hose, well saved, a world too wide
For his shrunk shank; and his big manly voice,
Turning again toward childish treble, pipes
And whistles in his sound. Last scene of all,
That ends this strange eventful history,
Is second childishness and mere oblivion,
Sans teeth, sans eyes, sans taste, sans everything.
*As You Like It 2.7.138-65.

★John Everett Millais, Ophelia
★John Everett Millais, Sisters

★参考文献
小田島雄志『小田島雄志のシェイクスピア遊学』白水Uブックス1982
小田島雄志『シェイクスピア全集』白水Uブックス
小田島雄志『シェイクスピアの人間学』2007
監修 福田恆存『シェイクスピア・ハンドブック』三省堂1987
岩崎宗治『ロミオとジュリエット』大修館書店1988
フランセス・イエイツ『シェイクスピア最後の夢』晶文社
(Frances A. Yates1899-1981) 新プラトン主義、ルネサンス研究。
河合祥一郎『シェイクスピアは誘う-名せりふに学ぶ人生の知恵-』小学館2004
河合祥一郎『ハムレット』角川文庫
河合祥一郎『ロミオとジュリエット』角川文庫
高橋康也『シェイクスピア・ハンドブック』新書館
高田康成〔他〕編『シェイクスピアへの架け橋』東京大学出版会
高橋康也、大場建治編『研究社シェイクスピア辞典』研究社
大久保正雄2016年8月4日

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