『星の王子さま』サンテグジュペリ 心の目で見る
大久保正雄「旅する哲学者 美への旅」第68回サンテグジュペリの言葉
『星の王子さま』サンテグジュペリ 人が本当に見ることができるのは心によってだけである
真夏の群青の空。星の王子さまが降る夜。
人が本当に見ることができるのは心によってだけである。
美しい魂に、美しい女神が、舞い降りる。
本質をみる人。旅する哲学者は、魂の美へ旅する。美しい魂は、輝く天の仕事をなし遂げる。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』
■サンテグジュペリの旅
サンテグジュペリは、26歳の時、トゥールーズ・カサブランカ・ダカール路線に郵便機操縦士として飛行する。砂漠の飛行所長となる。43歳の時、『星の王子さま』英語版仏語版、出版される。アルジェに赴き、偵察飛行機部隊に復帰。1944年7月31日、コルシカ島から、フランス上空への偵察に出撃。地中海で、消息を絶つ。
『星の王子さま』の星めぐりの回想の中で、六つの星を訪れる。王様(10章)、自惚れ屋(11章)、飲酒家(12章)、実業家(13章)、点燈夫(14章)、地理学者(15章) (サンテグジュペリ『星の王子さま』) 。
この六つの星の支配者たちは、サンテグジュペリが飛行機から見た、地上の人間たちの姿だろうか。命令する人、自惚れる人、酩酊する人、金を数える人、日常業務の人、探検家を利用する人。人と競争し、抜け目なく出し抜く競争社会。
人と競争し、抜け目なく出し抜く競争社会。階級を上る階級社会。世の中には、競争社会の競争が苦手な人がいる。こういう人にとって、この世は生きにくい。
目に見えない価値、心によってだけ見ることができるもの。サンテグジュペリは、心の眼でみることを暗示した。孤立無援の戦いだったのか。薔薇は、コンスエロなのか。バオバブの木は何か。狐は賢者なのか。『星の王子さま』は、サンテグジュペリの遺書のようである。『星の王子さま』は、多くの謎を秘めている。
■サンテグジュペリの言葉
私は、ある学校で、最後の授業に、言葉を教えた。荒野に知恵の種子となって、芽が出ているだろうか。
人が本当に見ることができるのは心によってだけである。大切なものは、目で見えない。『星の王子さま』
大地は、人間について多くを語る。サンテグジュペリ『人間の大地』
砂漠を美しくするのは、砂漠がどこかに井戸を隠しているからだ。『星の王子さま』
家、星、砂漠、これらを美しくするのは見えないものである。『星の王子さま』
愛とは、互いに見つめ合うことではなく、二人が同じ方向を見つめることである。
サン・テグジュペリ『人間の大地』
★Saint-Exupéry, Le petit Prince, 1943
★参考文献
山崎庸一郎『星の王子さまへの旅』求龍堂
山崎庸一郎『サンテグジュペリの言葉』弥生書房
ナタリー・デ・ヴァリエール『星の王子さまの誕生』知の再発見双書
稲垣直樹『サンテグジュペリ 人と思想』清水書院
『サンテグジュペリ著作集』11巻、別巻1、みすず書房1984—1989
サンテグジュペリ内藤濯訳『星の王子さま』
サンテグジュペリ池澤夏樹訳『星の王子さま』
大久保正雄「プラトンと詩と哲学 ―詩的直観と哲学的直観―」2009
大久保正雄2016年7月31日
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