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2016年6月19日 (日)

旅する哲学者 ピタゴラスの旅 プラトンの旅

Ookubomasao75Ookubomasao76_2大久保正雄『地中海紀行』第25回
旅する哲学者 ピタゴラスの旅 プラトンの旅

旅する哲学者、ピタゴラス、プラトン。
エーゲ海を旅する者は、光り輝く。
烈しい光が射して來る。
夢のように過ぎた美しい日々。愛は過ぎ去りし日の眞夏の輝き。
黄金の黄昏が忍びよる。あなたと歩いた黄昏の海。
星が輝く夜、エーゲ海の思い出。
神々に祈り、カスタリアの泉を飲む者は、再びギリシアに歸ってくる。
エーゲ海の魂に觸れた者は、再びエーゲ海に帰ってくる。

哲學者の言葉から、愛の香が立ちのぼる。
*大久保正雄『旅する哲学者 美への旅』より
*大久保正雄『永遠を旅する哲学者 美のイデアへの旅』

■ピュタゴラスと地中海
ピュタゴラスは紀元前6世紀イオニアのミレトスの對岸にあるサモス島に生まれた。僭主ポリュクラテスが書状によってエジプト王アマシスに紹介し、ピュタゴラスはエジプトに旅した。エジプト、バビロニア、ペルシア、クレタ島に滞在した。エジプトでは神殿内陣奥深い處で秘儀を學んだ。ピュタゴラスは、エジプト人から「魂は不死不滅であり、輪廻転生する」という思想を學んだと伝えられる。
 人間の魂は本来不死なるものであり、神的なるものである。肉体は死んでも魂は滅びることなく、他の動物や人間の別の肉体に移り宿り、本来の神性を回復するまで、輪廻転生を繰り返す。そして再び生まれてくる人間のうちに入ってくる。この魂の循行は三千年を要する。(cf.ヘロドトス『歴史』第2巻)
 祖國サモス島に戻ったが、ポリュクラテスが僭主獨裁制を敷いていたのでこれを嫌悪して、イタリアのクロトンに移住し、イタリア人のために法律を制定した。その地で宗教的學問的教団を組織した。弟子は300人に達した。國制は美しくアリストクラティア(優れた者の支配)を確立した。ピュタゴラスが組織した教団は、禁欲的、學究的なピュタゴラス的生活を追求した。クロトンの住民がピュタゴラスの僭主獨裁制の樹立を警戒してピュタゴラスの家に火を放った。ピュタゴラスは、メタポンティオンのムーサたちの神殿に逃げ40日間食を絶った後、死んだ。ピュタゴラスは、90歳まで生きた。(cf.ディオゲネス・ラエルティオス『哲學者列伝』8-1.3,39,40,44)
 ピュタゴラスは、口伝(アクロアティカ)、祕伝(エポプティカ)を弟子に伝え、魂の不死不滅、魂の輪廻転生の思想にもとづいて、宗教的祕儀、學問的修行を行なった。後に、ソクラテスおよびアカデメイア派に深い影響を与える。

■プラトンと地中海
紀元前399年、プラトンが28歳の時、ソクラテスが処刑されて死ぬ。ソクラテスは、毒蕁麻の毒の觴を飲みほし、肉體が冷えきって、死ぬまでの最期の時間、問答がおこなわれる。ソクラテスは、死の時間に居あわせた弟子たちに、人間は死に肉體は滅びるが、魂は不死不滅である、と説いて死んだ。
プラトンは、これ以後、12年間、地中海のほとりを彷徨する。メガラ、エジプト、エフェソス、イタリア、アフリカのキュレネ、フェニキアへ旅した。
プラトンは、ソクラテス死後、28歳の時、メガラのエウクレイデスの許へ赴いた。またキュレネに数学者テオドロスを訪ねる。イオニア地方、エペソスのヘラクレイトスの弟子クラテュロスに學ぶ。(cf.アリストテレス『形而上學』1-6.987a29)またプラトンは、アイギュプトス(エジプト)の豫言者のところに行った。この時、悲劇詩人エウリピデスが同行した。エウリピデスは、エジプトで病気に罹ったとき、祭司たちに海水による治療を受けて病気から救われた。(cf.ディオゲネス・ラエルティオス『哲學者列伝』3-1-6)
387年遍歴時代末期、イタリアに航海する。ピュタゴラス派の哲学者ピロラオス、エウリュトスに会うためにイタリアに赴く。イタリアのタラスにてピュタゴラス派のアルキュタスと親交を結ぶ。
387年シケリアに渡航する(第1回渡航)。プラトンは、青年貴族ディオンと出会い、ディオンはプラトンの思想の共感者となり愛弟子となる。シケリアにおいてディオニュシオス1世治下の強大なシュラクサイ王國宮廷において僭主獨裁制の現實を身を以って體驗する。獨裁者ディオニュシオス1世は、反對者を捕え牢獄「ディオニュシオスの耳」に監禁し、盗聴していた。プラトンは、ディオンを介して、ディオニュシオス1世と会見する。「獨裁者はすべての人よりも勇気がない。正義の人々の生活は幸福であるが、不正な人々の生活は不幸である」と説くと、獨裁者は自分が非難されているような氣がして、論旨を聞かず不愉快に感じ、獨裁者の怒りは収まらず、ディオニュシオス1世はスパルタ人提督ポルリスに航海中プラトンを殺すか、奴隷に売るように依頼し、実行に移された。プラトンはアイギナ島で危うく救出された。当時アイギナはアテナイの敵國であった。(cf.プルタルコス『對比列伝』「ディオン伝」、ディオゲネス・ラエルティオス『哲學者列伝』3-1-19,20、プラトン『第七書簡』)
387年歸國、プラトン四十歳。アカデモスの聖域アカデメイアの地に學園を設立する。  プラトンは、自らの叡知を、二つの源泉から、ソクラテスとピュタゴラス派、或いはエジプトの知恵から、得た。ピュタゴラス派、エジプトから「魂は不死不滅であり、輪廻転生する」という思想を學んだ。347年八十歳の時、宴の後、書物を執筆しながら死ぬ。

■ミネルヴァの梟は黄昏に飛び立つ
紀元前7世紀、イオニアの都市が爛熟し、頽廃した時に、哲學者たちが現れ豫言したように。紀元前5世紀、アテナイの國家が傲慢ゆえに戰爭に明け暮れ、敗れ、人々は零落した。ポリスが荒廃し破綻した時に、惡徳と腐敗のなかから、ソクラテスが現れた。だが邪惡な人々のゆえに、ソクラテスは殺された。
文明が、芽生え、蕾を芽ぐみ、花開き、咲き誇る花が死の匂いを漂わせるとき、哲學が生まれる。文明の黄金時代、秘儀と藝術と悲劇の花が開く。花が枯れ果て、死の匂いが漂う時、哲學が現れる。しかし文明は死の灰燼のなかから再びいのちを蘇らせることはない。
エーゲ海の哲學者、魂の墓標。
哲學者の言葉から、
愛の香が立ちのぼる。
哲學者の死から二千年たって、
私はその香をかぐ。
★参考文献
Herrman Diels,Walter Kranz “Die Fragmente der Vorsokratiker” 3Bande,Berlin, 1953
G.S.Kirk, J.E.Raven and M.Schofield “The Presocratic Philosophers” 1st.ed.1957, 2nd.ed.1983, Cambridge University Press
John Burnet(ed.), Platonis Opera, 5vols, Oxford Classical Text, Oxford U.P.1903
William David Ross, Aristotelis Metaphysica, Oxford U.P.
田中美知太郎、藤沢令夫訳『ギリシア思想家集』世界文學体系63 筑摩書房 1965
内山勝利編『ソクラテス以前哲学者断片集』全6巻、岩波書店1996-1998
斎藤忍隋『知者たちの言葉』岩波新書1976
ディオゲネス・ラエルティオス加来彰俊訳『ギリシア哲学者列伝』岩波文庫1984-1994
プルタルコス河野與一訳『プルタルコス英雄伝』全12巻岩波文庫1952-1983
村川堅太郎編『プルタルコス』世界古典文学全集23筑摩書房1966
大久保正雄COPYRIGHT 2002.01.30
★ロドス島 マンドラキ港 城壁
★ロドス島 エーゲ海のホテルにて

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